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私の内包物をつれづれと

舞台「パタリロ!」~ファントム~ 観劇感想

2022年9月8日、銀河劇場にて、パタリロ!〜ファントム〜を昼夜2公演観劇!
めちゃくちゃ楽しかった〜!!!昼の日替わり担当のタマネギは田村升吾くんだったんだけど、めちゃくちゃ爪痕残すじゃん……!ってなった。日替わりゲストの石田隼くんも喋るたびに全部彼のペースに持ってくしレビューショーの時もガンガン踊ってて最高だった。

開演まで座席でパンフレットを読んでたんだけど、今回のパンフレットはピンクのホロがキラッキラでめちゃくちゃ可愛くてテンション上がった!あと開演前にずっとパタリロの歴代の歌が流れてて、舞台後半はレビューショーもあって、めちゃくちゃ懐かしいし楽しいし、スターダスト計画と霧のロンドンエアポートを見返したくなってしまった。パタリロファントム、客席が老若男女って感じの客層で連載45周年ってすごいな〜と思う。

今回、休憩なし1時間50分のコンパクトさがかなり良かった。1時間20分くらいが本編で残り30分くらいが連載45周年記念レビューショーだったんだけど、本編が初めから終わりまで中だるみせず進むのが気持ちいいし、レビューショーもゴージャスでリングライトやペンラの光が最高に楽しい。マライヒのホットパンツの時はペンライトの色を当然ホットピンクにした!

今回の新キャラであり裏主人公ともいえる、ミスターフーのいくみん(井阪郁巳くん)良かった。彼のミスターフーは自分は攻めと思ってバンコランに接してて、バンコランのレースシャツを脱がせた背中にキスするシーンがねっとりと長くて、抱きたい方のフーだった。キャラ解釈一致でした。そのかわり受けの時の演技ほぼギャグで乗り切っててそれは笑ったけど。
って昼公演で思ってたら、夜公演ではガラッと演じ方を変えてきて楽しかった、マチソワしてよかった。昼は受け演技をかなりギャグでやってたけど、夜はシーンのノリとしてはギャグ感あったけど昼よりもかなり本気で受け演技をしてて、唯一であり最愛の肉親である弟よりも愛してしまった男と脳内でセックスしてんだもん本気でやってる方がこの後のセックスみたいな殺し合いシーンが生きてくる。

前作霧のロンドンエアポートで、宇野結也くんのバンコランが少年時代の性暴力を含んだ受け描写と、今の眼力で美少年を抱く姿をシームレスにバンコランの個として演じてたのを見てたし、個人的にミスターフーは当初自分が抱く側としてバンコランに惹かれた上で、バンコランが拒絶のために抱いたってのが私の中で自然だった。
宇野さんのバランス感覚が良かった。強い眼力はまんまバンコランなんだけど、自分をどう扱うかってのが上手いのか、浮気性の美少年キラーという美しいけどいけ好かない男に、柔和だったり儚げだったり危うげに魅せるバランスで、フーが唯一大切な肉親を超えて心を寄せてしまう説得力がグッと増した。
中村中さんの歌姫が歌い上げる中で殺し合うバンコランとミスターフー、めちゃくちゃドラマチックだったな。原作やアニメのファントムよりも愛憎が濃密で、フーが何度もバンコランにとどめを刺そうとしながら、後ろから縋り付くように抱きついて殺し損ねるのが良かった。フーが最愛の弟への愛情とバンコランを天秤にかけてしまった苦悩のにじみ出るその切実さを、縋りつかれているせいでバンコランは目撃しないのも切なくてよかった。

舞台中盤になって「やっと登場、パタリロのヒロイン、マライヒです!」って言いながらブランドのショッパーを山ほど抱えたマライヒが登場。後藤大くんのマライヒ、安定のかわいさ。前作はシリアスなシーンも多かったけど、今作だとずっとザカーリとキャットファイトしたり嫉妬して怒りに震えたりしててかわいい。でもバンコランと共闘するシーンはめちゃくちゃかっこいい~!かわいくて強いマライヒが好きだ。レビューショーで、気になってた大ちゃんのマライヒのホットパンツ、すっごく良かった!佐奈ちゃんマライヒのホットパンツは肉感的だったが、大ちゃんマライヒのホットパンツはどこか清楚で可憐。キュルンってしてみせても、佐奈ちゃんはあざとさで殺す、大ちゃんはうるうるって感じでかわいい。

ザカーリの佐藤永典さん久々に見たけど、ま〜すごい。マライヒと長髪美少年同士でキャットファイトしなきゃいけないから対比の為にか独自のキャラ付けしててめちゃくちゃ存在感あった。面白すぎてお腹いたくなった。
最後、まだ歌に行けるかい!新キャラなのに何なんだよ!全然活躍もしてないし役に立ってもないし連れてきた奴は敵かよ!騙されてたよ!ザカーリ可哀想だろ!!!ってブチ切れてて、田村升吾くん演じるタマネギと口汚く喧嘩して(昼:この役立たず!→このせんべい小僧が!、夜:へっぽこ占い師!→頬を叩く→暴力だ!)、その後バンコランとの絡みでもっといい声出せてたらバンコランをメロメロに出来た、(タマネギ部隊に向かって)おい!ケツなめろよいい声出すから!って言い出してエンディングの歌前がめちゃくちゃ混沌としてたよ。あの息をもつかせぬ怒涛の勢いすごいな〜!見るのは孤島の鬼以来だったから、こんな感じもできる人とは知らなかった。

ヒューイットの丘山晴己くん、独特のノリで面白かった。他の舞台ではもっとシリアスなキャラやってたから気づかなかったけど、割とおっとりとした感じでマイペースなヒューイットで良かった。パタリロのせいでめちゃくちゃ理不尽な目に合わされてるのにどこまでも明るくてキラキラポジティブなヒューイット、マジでパタリロのクソ野郎さが引き立つ気の良いスナイパーだったな。むしろ気弱さがないから、丘山晴己さんの成分がものすごく入ってるのかもしれん。おっとりしてるんだけど、ずっと高めの高度を一定に維持したままなのがすごく強靭で、新キャラなのにパタリロの舞台実家ですか?って思った。
上に書いたザカーリの怒涛の展開の時に、ヒューイットも呼ばれて君も新キャラなのに活躍できてなくて納得できないよね?!って言われたのに、おっとりとした口調で「ぼく良かったよね?」って自信たっぷりに言ってパタリロとタマネギたちに拍手されてご満悦な顔してるの本当に最高だった。
カーテンコールの最後にコメント振られて話してたんだけど、すごい独特の世界観を持ってお話してて機関車の話とかおもらしの話とか全然ついてけなかったけど、彼がカンパニーをめちゃくちゃ愛して公演をとても楽しんでるのは伝わってきた。

タマネギ部隊、原嶋元久くんと佐川大樹くんの続投組の安定感が半端ない。原嶋くん前回は特別な黒タマネギだったから、今回は特出しすぎないようにしてた感じかな。佐川大樹くん、めちゃくちゃ良かった。相変わらず声が好き。あの独特の相手から毒気を抜いちゃう声と表情と身のこなしで、タマネギ部隊を好きにならない人いないよ。パタリロシリーズ見るたび改めて佐川くんを好きになるもんな。テニミュでノムタクやってた時もあの声色と仕草と身のこなしがどうにも愛嬌があって大好きだったけど、チャームポイントが伸びまくってる。
昼の日替わりのセクシー担当は田村升吾くんのタマネギ。正拳突きでこの板を割るって言って、振りかぶって板を突くかと思いきや、反対側の空中を殴ったから何やってんだよ~と他のタマネギ達に詰め寄られたら、他のタマネギの懐に入ってたせんべいが割れててどヤ顔~ってネタだった。文章で書くと全然面白くないんだけど、めちゃくちゃ良かった。

中村中さん、安定の歌姫役すばらしいんだけど、相変わらずこんな役やらせるんかい!って所に出させてて思わず吹き出しちゃう。しょっぱなからカジノ店員で出てたし、マライヒが隠れる用の街の壁役、マジでただ壁なのに中村中さんじゃん……ってなってしまう。ぜいたく〜!天に伸びて地に轟くような圧倒的な歌唱が舞台パタリロに不可欠な存在だ。

日替わりゲストは石田隼くん。スターダスト計画の時のタマネギ11号を演じていてめちゃくちゃ好きだった!
なぜかバンコランの喫煙所に入って登場(加藤諒くん曰くそういうプレイだそう)し、タバコって怖いという話に。ヤニ吸いたいってなっても普通に吸うより副流煙のほうがヤバいんですよね?それなら喫煙所に言って自分で吸うより人の煙を吸ったほうが、でも第一人者(実際に吸う人という意味だと思われ笑)が必要だけど。もしくは百円入れたら煙がシューッと5分くらい出てくるボックスとか良いんじゃないですかね?とか言い出して、加藤諒くんが「タバコが怖い話は?」って聞くと「え?そんなこと言いましたっけ?」って返してシュールな時間だった。
タバコ休憩ってなんか許されるじゃないですか、でも例えばゆっくりじゃがりこ噛んでもいいですか?って言っても許されないじゃないですか、なんか許されるやつを考えたい、みたいなこと言ってて笑った!それここ(パタリロの舞台上の日替わりゲストトークの中)で考えるの?って言う加藤諒くんが正しい。
隼くん、初演時とかスターダスト計画の時はタマネギ部隊の年齢層が高めであまり激しいダンスは膝が……とか言い出してそんなに歳じゃないでしょって思ったけど、今回の新タマネギふたり、ちゃんくんとゆっけくんなので確かに若いし踊れるわってなった。でも続投の原嶋くんと佐川くんもバリバリ踊ってた。隼くんもひさびさのパタリロに日替わりトークゲストで来てるだけなのに、レビューショーで一緒にバリバリ踊って盛り上げてて最高だったよ。
ソワレでも隼くんがすんごくマイペースに話してて、加藤諒くんに隼くんワールドがすごいって言われてたし、何を渡しても笑いに変えるでしょって唐突に小道具?の包丁渡されてモノボケやらされてて、フリーで話をさせるなって事かなw若干事故ってたけどさすが隼くんそれでも笑いに変えててすごかった。
ゲストトーク中に話題に出てたけど、今回はタマネギ部隊の恒例のセクシーシーンがかなり少なく、かわりに踊って歌ってのシーンが多かったけど、かなりダンスの手数が増えてて、隼くんが初演とスターダスト計画の時は振り付け簡単だったよねって話うんうんと思いながら聞いてた。

パタリロのレビューショー見ながら、ビューティーオニオンズは完全にSMAPのSHAKEだよな〜って聞いてたんだけど、もしかして歌ってるタマネギ部隊の子たちは(特に新タマネギ2人)元ネタのSMAPのSHAKE自体を知らない世代なのか?と後から気づいて恐ろしくなりました。

髪が長くて麗しい男達がたくさん出てきて、愛憎にまみれながら、その長く美しい髪やロングコートやレースやフリルの裾を翻して殺し合うシーンが見られる舞台パタリロ、めちゃくちゃ楽しい。
パタリロ、いつ見てもテニスでよく知った顔(丘山さんはまほステで知った顔)だらけで謎に実家感がある。加藤諒くんは唯一無二のパタリロなので、その柱(あと魔夜メンズの皆様も)が一本通ってたら周りのキャストが変わっても結構成立しちゃうんだけど、さらに周りが好きだらけなのでめちゃくちゃありがたい。また次回があると思っているので楽しみにしてます!残りの東京公演、大阪公演まで無事に駆け抜けられますように!

以下は、見ていて気になったところを批判的に書いています。好意的な感想ではありません。

パタリロの舞台、基本的に大好きだし元気出るし最高に面白くて豪華絢爛極彩色の極上のエンタメだと思ってるけど、制作陣からにじみ出る、コンプラとかポリコレとか面倒くさいそういうの気にせずやろうよこれフィクションなんだから〜ってノリに関してはとっても嫌だなと思ってて、今回もそこは嫌だった。観客が何も考えずに楽しめるエンタメって、造り手が何も考えずに作ったら成立しないでしょ。造り手が何度も試行錯誤して考え抜いた上で生み出したものだから、見てる方は何も考えずに楽しめるわけで、一旦令和ってこと忘れて〜と言いながら現代の設定盛り込んでコンプラ面倒くさいはしょうもないと思う。
良い所しかない完全無欠の作品なんて存在しないので、嫌だな〜と思うところはあるけどそれでも大好きです。ただ、今後も続いてほしいから、今は何にでもコンプライアンスって言われて面倒くさいこれはフィクションですよって役者を通して言わせるのはめちゃくちゃダサいのでもうやめてほしい。
今日のソワレの日替わり担当ゆっけくんだったんだけど、アレ何を面白いと思ってやってたのか全然よく分からなくて、もしかして外国人の人がたどたどしく日本語を話すのがカワイイっていうネタだったなら、すげーつまんないしどう考えても人種差別的なのでもう二度とやらない方がいい。カタコトの日本語を笑うっていう感じ、関東大震災の時に日本人が通りすがりの人に「十五円五十銭」と発音させ、正しく言えなかったら朝鮮人と判断して虐殺したってのを思い起こさせてゾッとして全然笑えなかった。