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私の内包物をつれづれと

芸術祭十月大歌舞伎 夜の部 観劇感想

2017年10月25日、歌舞伎座で芸術祭十月大歌舞伎の夜公演・千秋楽を観劇してきました!
一回書いた感想が全部消えたのでもう書き直す気力がなくなったけど、とりあえず美しかったことだけでも残しとく。
坂東玉三郎様の圧倒的な美しさにやられました!!!!!
玉様の美しさは別格、まるで天女のよう。
沓手鳥孤城落月と唐人話と秋の色種。特に秋の色種がすごかった。長唄に合わせた舞踊なんだけど、指先から身のこなし佇まい視線まで全部美しい。舞台上には背景もないし歌舞伎らしい派手な機構もないんだけど、玉様が目を伏せればそこに草花が生えて、顔をあげれば木々が揺れて、扇を操れば蛍が飛び交い虫が鳴くんだよ。全ての仕草に意味があり、それによって音の意味が鮮やかに立体で再生される。舞踊だけどすごく演劇だった。
今、舞台作品ってプロジェクションとの融合は当たり前だしリアルなセットも多いけど、生身の人が持つ情報量に勝るものってないんだなと思った。そこに俳優が一人いる立体の本物の情報量を超えるほどのセットなんてないから、そこから発する演技に説得力があれば、人は勝手に補完する。あるべき情景が浮かぶんだなと思った。

沓手鳥孤城落月の玉様は淀の方を演じてて、七之助さん演じる豊臣秀頼との親子のやりとりが狂気と悲しみに満ちててすごかったんだけど、もう書き直す気力が…。淀の方が美しいからこそ、気が触れている姿が哀れでかなしくて恐ろしかった。幼児退行でもしたような無邪気さで気が狂っていた。

歌舞伎は久々だったけど、やっぱり面白い。十二月の楊貴妃も玉様の美しい姿を見に行きたいなあ。

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