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劇団ホチキス『明後日のガラパゴス』観劇感想

2023年10月6日、新国立劇場小劇場にて、劇団ホチキス『明後日のガラパゴス』を観劇!ネタバレあんまりしてないけど、配慮してないのでこれから見る方は読まないほうが良いかも。

笑いすぎて疲れた〜!ホチキスらしい外連味と小気味いいテンポ感と全力で舞台を楽しんでる熱量とほっこりする大団円、大満足でした!!!

今回のホチキスは山﨑雅志さん声のみの出演なんだけど、そりゃそうよね、いま最遊記歌劇伝外伝に出てますので。今月見たい舞台が被りすぎてて、ホチキス見て新テニミュ見て最遊記歌劇伝見てっていう怒涛のスケジュールになってしまった。2日後には歌劇伝の山﨑さんを見てきます。

今回のホチキス、ゲストの前川優希くんと赤澤燈くんが王道をちょっと外してくる感じのキャラ作り(第二のキャラ含め)で面白かった〜。ホチキスって毎回味付けがコテコテなんだけど(それが良いしそれを見に行ってる)二人がいい味になってて楽しかった。あと加藤良輔さんは完全にホチキス劇団員側でめちゃくちゃ笑った。第二のキャラの時の若本規夫さんの声真似がうますぎた。溶け込みすぎてて最高。

 

公式HPよりあらすじ(https://hotchkiss.jp/galapagos/

30年以上も続いているTVアニメ「アサッテさん」の脚本チー ムに抜擢された若き脚本家礒崎新。ベテラン脚本家たちに揉 まれながらも、昔から「アサッテさん」の大ファンだった礒崎 は、幸せを噛み締めていた。しかし、昨今は視聴率が右肩下が り。しかも、アニメのスポンサーが降りるという噂もあっ て・・・。果たして「アサッテさん」は、進化して生き残れる のか、それとも絶滅してしまうのか!? 劇団ホチキスがこの秋お届けする、脚本家革命コメディー「明後日のガラパゴス」にご期待ください!!

アサッテさんはまあサザエさんをもじってるわけなんだけど、その脚本チームは悪い意味でガラパゴス化している。大御所のパワハラと理にかなってない古いルールがまかり通り、若手は入ってもすぐ辞めてしまってわずかなベテランしかいない。プロデューサーは典型的イエスマンでただ従うだけ。そんな中でも磯崎はニコニコ楽しそうに仕事をしている。同期の伊東はこの旧時代的な職場に革命を起こそうとしていて、磯崎を誘うも、磯崎はこの状況にあまり問題を感じておらず……。

ホチキスが描くのですごく楽しいドタバタコメディなんだけど、途中まで権力によるハラスメントを否定しない、肯定するようにも見えるな〜とモヤモヤしてた。最後は一応の否定もあり、トップを追い出さずとも権力の勾配による支配がなくなればいい風が吹いてくるっていうラストだったので少し安心した。

マンネリと安心感って割と近いところにあるように見えるし、長く続くものって伝統だとかって言われたりするんだけど、じゃあ伝統って何も変えないで同じものを作り続けてるのか?というと実はそうでもないんだろうと思っていて。個人的に、新しい視点のものだったり現在の価値観だったりチャレンジングなものが、絶えず革新があって、それでも残ったものが結果的に長く続くものになるんじゃないかなと思ったりしてる。まあ単純に私が飽きっぽいからそう思うのかもしれないけど。

ここ数年、中国のアニメにハマっていくつか見てるんだけど、社会問題への批判とエンタメ性の共存が当たり前に両立してるのって中国アニメだと普通っぽくてうらやましい。すっごい面白くてアニメーションや音楽の質も高くてエンタメとしてグイグイ魅せてくる中で、普通に現代社会への批判が織り込まれてる。オリジナルアニメーションがたくさん生まれる環境だからそれこそなのかもしれない。

最近エンタメ見ていても合わないものが増えてきて、このノイズがなければいいのにって思うことが多いんだけど、見ている側が余計な思考のノイズに悩まされずに楽しめるのは制作側がその分を考えていてくれるからだと思う。何でもかんでも変わることが良いとは思わないけど、変えないことに固執して価値観が古くなったままだったり、楽しめる人の幅を狭める表現になってるのに気がつかず魅力が半減してたりするのは、もったいないし悲しい。

正直ホチキスの作品にも結構ステレオタイプだったり家族主義っぽかったり古い価値観だなと思ってしまう時もあるんだけど、これからも楽しくて面白い作品を作って欲しい。ホチキスの劇団員の皆様の外連味たっぷりな身体表現が大好きでいつもたくさん笑わせてもらってるので、変わっていくことや新しいことも楽しんでまた作品を生み出してほしい。