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私の内包物をつれづれと

おおばかもの~おおばかものだけど、わるいやつらではない~ 観劇感想

2016年10月28日、おおばかもの~おおばかものだけど、わるいやつらではない~を観劇してきました。
なんともモヤっとする舞台で、舞台をよく見に行ってる友人には会うたびに愚痴ってしまったんだけど、ひとりで見に行くとアウトプットが上手いことできないので吐き出します。
まず大前提として私が小劇場系の舞台よりもエンタメ性の強いミュージカル作品の方が好きなので好みとずれてたってのがありますので、ご覧になって純粋に楽しめた方には不快な感想だと思います。

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秀山祭九月大歌舞伎 観劇

2015年9月6日、歌舞伎座にて秀山祭九月大歌舞伎を観劇してきました!
念願の玉さま!坂東玉三郎さまを生で見てきました!
夜公演の演目は通し狂言 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)。

一生に一度は坂東玉三郎氏を生で見たほうがよいとおすすめされてから早何年。
いつもながらミーハー根性丸出しで、完全に玉さま目的での観劇でイヤホンガイド頼りで見に行ったものの、演目の先代萩は伊達家のお家騒動の話で、以前、市川海老蔵氏の伊達の十役を見ていたので予習する時間なかったけどわかりやすかった。

先代萩は、当時流行した伊達家お家騒動のいくつもの作品のいいとこどりをした作品ということで幕ごとに演出がガラッと変わっておもしろかった。
演出どころかキャラクター設定まで変わってしまうあたりは歌舞伎らしさということでってイヤホンガイドの解説員の方がさらっと流しやがって笑った。
時代や指向性によってキャラ付けも変わるんだなあ。
悪役の仁木弾正は伊達の十役で見た妖術使いのイメージが強くて、先代萩でも最初は妖術使いとして登場するのに、幕が変わると妖術?なんですかそれ?ぐらいの感じになっててイヤホンガイドなかったら置いてかれてた。

坂東玉三郎さまの乳人政岡、本当に素敵だった。
政岡が高潔で情が深く、かなしくて美しい女性なのは知っていたけれど、本当に素晴らしかった。
政岡は顔立ちが美しいという意味ではなく、その気高い心と情の深さ、教養の深さを感じさせる所作の綺麗さから人としての美しさが伝わってくる。
玉三郎さんが舞台にいると、いい意味でキンと舞台上が張りつめるなと感じた。
だけど玉三郎さんだけが立っているわけでなく、一緒のシーンが多い八汐役の歌六さんと沖の井役の菊之助さんもピリッとしていい緊張感、均衡があって目が離せなかった。

子役がすごく良くて、若君鶴千代と政岡の子の千松がかわいらしくて真摯でいじらしい。
お家騒動の中、毒を盛られることを回避するために政岡が茶器でこっそりと作る1日1回の食事以外食べられず、ひもじいのにもかかわらず、幼いながらも自分の立場をしっかりと理解して我慢する2人にグッとくる。
毒見役を理解している千松も、命を狙われる立場でそのために乳人政岡が苦心していることを理解している鶴千代も
2人ともまだひどく幼いのに、わがままを言わず我慢することを是として生きているのが切ない。

政岡の子の千松が鶴千代を守るために毒入り菓子を自ら食べ、毒入り菓子だったことがばれないように八汐に嬲り殺されるのを目の前で見せられながらも毅然と鶴千代を守る政岡が、もう張りつめた糸が切れてしまいそうなギリギリの演技。
難を切り抜けた後、抜け殻のように呆然とし、我に返り、徐々に千松の死を、絶望を理解しはじめる姿。
無残な亡骸になった息子に縋り付いて、よくやったよくやったと褒めて、でもそれは虚勢でしかなくて。
主君への忠義ゆえに愛情とは裏腹に厳しくしてきた息子をこんな形で失わなければならなくて、無理にかためていた虚勢もボロボロになって身も世もなく取り乱して泣く政岡が本当に悲しくて、涙が出た。
それまでのシーンで若君鶴千代と息子千松をどれだけ慈しんでいたか、厳しくも愛情深く育てていたかがしっかりと描かれていた分、本当に辛くて切なかった。

仁木弾正と荒獅子男之助との幕は、仁木弾正の不気味な悪役としての存在感がすごかった。
3階席で花道は途中までしか見えなかったけど、花道を通って姿を消していく弾正の影がだんだんと大きくなっていく演出がよかった。
妖術使いの得体の知れない恐ろしさがじわじわと不安をあおる感じだった。
でも次の幕では妖術使いなにそれ美味しいの?って感じになっててズコーってなったけど。
伊達の十役で見た大ネズミに化けてドンチャン大立ち回りな感じだとあまりに快活すぎて作品の流れぶった切っちゃう感あるからこれでよかったんだろうけどね。

とにもかくにも坂東玉三郎さま素晴らしすぎて何とかしてまた生で見る機会を作りたい!

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八月納涼歌舞伎、第二部

2015年8月22日、第二部1つ目は「ひらかな盛衰記逆櫓」
幕間でお弁当食べて二部だったので前半うとうとしてしまった…。
中村橋之助さんが大変格好良かった!橋之助さん演じる船頭・松右衛門は実は樋口という武将なんだけど、船頭としての松右衛門と武将としての樋口の切り替えと、立ち回りの派手さがすごかった。
とにかくスケールがでかい!舞台のはじからはじまで、さらに花道まで、所せましと大立ち回り。
20人以上の漁師に扮した若侍たちの大捕り物、視界がふんどしだらけで壮観wしかも歌舞伎特有の表現として立ち回りで負けると、仰向けに倒れた状態から足をあげるんだけど、妙齢の男子20人以上のフンドシY字開脚ってなかなか見る機会ないよね…。まあ肌色スパッツ履いてましたけどね…。アイドルの見せパンと同じくらいの感覚で見せフンはサービスなんです歌舞伎って。
そんな衝撃的なシーンも歌舞伎のおもしろい所だよなあと改めて思ったり。あと、何気に橋之助さんの息子さんが2人出てたりして親子共演だった(イヤホンガイドがネタバレしてくれなかったら存じ上げませんでした、ありがとうイヤホンガイド)。
第二部2つ目は「京人形」
実はこっちが大本命でした!中村勘九郎七之助兄弟の共演!
日光東照宮の眠り猫で有名な左甚五郎を主人公にした舞踏劇。
勘九郎さんが左甚五郎、タイトルにもある京人形が七之助さんです。
廓で見初めた美しい太夫が忘れられず、生き写しの等身大人形を彫り上げてその人形を相手に酒を飲んでたら人形が動き出したっていう、出だしから割とパンチの効いた演目でしょっぱなからクライマックスか?って言う感じに面白い。
京人形と書かれた大きな箱を開けた瞬間に、その美しさに釘付け。まさに傾国の美女!って風情の七之助さんに観客はため息。
廓遊びの真似事をしつつ酒を飲んでると動き出す京人形、魂を込めて彫り上げたから魂こもっちゃったらしいんだけど、甚五郎の魂がこもってるもんだから動きが男(甚五郎の真似をするので荒っぽい)、かつ木彫りの人形だからぎこちないwそれがまた美しい姿なもんだからギャップが激しくてコミカルで。どうしたもんかと考えて、大夫が使っていた鏡を人形の懐に入れるとあら不思議、大夫そのものの優雅でしとやかな動きに大変身!鏡を入れたり外したりしながらドンチャン踊って大騒ぎ~ってしてたら驚きの急展開。
実は甚五郎の家で娘と偽ってお姫様をかくまってて、そのお姫様を狙っている悪人の家来が連れて行こうとするので何とか足止めして姫を逃がそうとしていると、姫の家来がやってきて、甚五郎を姫をさらった悪人と勘違いして腕を切りつける。(どういうことだよ)
甚五郎は怒りもせず事情を説明して姫とその家来を逃がすと、悪人の家来たちが大群になって攻め込んできて、甚五郎は片腕のまま大工道具を使って大立ち回り!(どういうことだよ)
京人形ってタイトルなのに後半京人形全く出てこないというびっくり展開でした!
京人形の美しさ、人形の男と女の踊り分けのコミカルさが見ているだけで楽しくて面白い!大工道具を使った立ち回りもすっごくコミカルで、かんなで敵の足を削ったり、倒れた敵をはかりで測ったり、ノミとか金槌とか線をまっすぐ引く道具とかで立ち回って敵を倒しててなんじゃこれと思いつつも終始楽しかった。あとこんな古い時代から等身大フィギュアを愛でてたんだなあ、日本人のオタク気質かわらんなあと思ったり。
大好きな中村兄弟が演じているのでさらに加点されまくりで大好きな作品になった。
甚五郎の奥さんもなかなかパンチがきいたキャラで、自分の旦那が花魁に一目ぼれして等身大人形彫り上げて一緒に酒飲むのを受け入れるどころか、旦那に仲居の役を頼まれたら承諾して私がいてはお邪魔でしょうから後はお二人でごゆっくりみたいなことノリノリで言って人形と二人きりにさせてやるとかほんと面白い人。
舞踊ものとしてみると舞踊のシーンが少なくて、ストーリーとしてみると意味不明なところが多かったりするけど、そんなんどうでもよくなるくらいにはとにかく楽しい作品だから、まあ細かいことはどうでもいいよねってなった。
来月は玉さま(坂東玉三郎さん)を見にまた歌舞伎座に来るのですっごい楽しみ!

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八月納涼歌舞伎、第一部

2015年8月22日、ひっさびさに歌舞伎座で観劇!もう2年ぶり…もっとコンスタントに見に行きたいなあ。
八月納涼歌舞伎、第一部と第二部をぶっ続け。よく舞台を見る友人はマチネとソワレぶっ続けて見てたりするけど初めてやりました。
夏の歌舞伎は昼夜二部構成じゃなくて三部構成だったりするので短くて気軽。おしりにも優しいぜ~と思ってチケットポチポチしたら、うっかり一部も二部も取れてしまったので両方見ました。もったいないお化け出るのでね。
第一部の1つ目は「おちくぼ物語」
おちくぼの君は中村七之助さん!美しかった~!
話は簡単に言うと日本版シンデレラ。継母や異母妹にいじめられる薄幸のお姫様は、屋敷の中でも日当たりの悪い落ちくぼんだ部屋に住まわされ、おちくぼの君と呼ばれ、召使のように縫物をさせられてる。
美しいと評判だった亡き実母の生き写しのおちくぼの君はそりゃあ継母さんとうまくいくはずもなく、お父さんも継母の態度を見て見ぬふりで助けてはくれず(しかも前妻との思い出の笛をいまだに大事にしてよく演奏するもんだから余計に質が悪い)、本来明るい性格だったのに口癖は「お許しあそばせ」になってしまうほど。その「お許しあそばせ」がまた鼻につくっつっていじめられる悪循環。
唯一の味方である侍女夫婦が取り持って、都で一番の貴公子、左近少将と結ばれるんだけど、中村隼人さん演じるこの左近少々のキャラがなかなか良かった。
登場するや否や、もうキラッキラなんだ。立ち振る舞いもしゃべり方も古き良き時代の少女漫画の王子様かよってくらいなキラッキラ具合。思わずかゆくなりそうなシーンの満載でそれをやりすぎなくらい大真面目にやるからいい意味で笑えるシーンになってる。思わせぶりに近づいたと思ったら、蚊が、とか言いながらペチってしたりね。「憎い奴め、姫の血を吸いおって…」とかくそ真面目に言う貴公子ね。
左近少将はいわゆるプレイボーイなんだけど実は一途なんだって言う割りにやっぱりプレイボーイだろお前wな感じだったりするのも面白い。継母は実はこの左近少将を実の娘と結婚させようとしてたんだけど、左近少将は自分のいとこを呼び寄せて、お前太った女と痩せた女どっちが好きだ?とか聞いて、お前好みの女譲ってやるよとか手引きして、自分はうまいことおちくぼの君とくっついちゃったわけで、策士じゃねーかこの野郎とか思ったり。
侍女夫婦がまたいいキャラ。旦那は左近少将の、奥さんはおちくぼの君の味方的立ち位置で、奥さんは都一のプレイボーイなんぞに大事な姫様をくれてやるなんで断固反対って感じだったのに、今ふたりはしっぽりやってるからwいい感じだからwって言われて姫様を助けなきゃ!って部屋に向かったと思ったら、「左近少将は男の中の男よ、姫様は幸せ者だわ…」みたいなこと言って帰ってくるwオイオイそれでいいのかよって思いつつ、軽いノリが小気味いい感じ。
継母が計画していた実の娘の縁談がめちゃくちゃになって怒り心頭。自分の兄(飲んだくれのヒモニート)とおちくぼの君を結婚させようと兄の住まいに閉じ込める。その兄貴は兄貴で美人の姫と結婚できるとノリノリで、気絶した姫に無理やり酒を飲ませるんだけど、実はおちくぼの君は酒乱だったので、酒に酔って、結婚を迫ってくるヒモニートをちぎっては投げ、意地悪な継母や異母妹をちぎっては投げ、迫りくる追手をちぎっては投げ。
そこに左近少将がやってきて我に返る姫(かわいい)。結婚しましょう、わが家へ参りましょうってなるんだけど、酒はやめておきましょうねって言う左近少将がなんとも尻に敷かれそうな感じでいい。
最後、こんなの絶対許さない!キー!!!ってなってる継母におちくぼの君は「お許しあそばせ」って言いました。チャンチャン!
作中で左近少将も指摘してたんだけど、おちくぼの君って陰陽併せ持つというか、元々の明るい性格とおちくぼと呼ばれて引きこもってる暗い性格と両方があって、片方だけじゃなくその両方が良いんだよって言うんだけど、その両方の表現が七之助さん抜群にうまくて。ぼそぼそと哀れがましく許しを乞うてばかりの姫も、キャラキャラ笑いながら割と辛辣なこと言っちゃう姫も、酒乱な姫も全部姫で、そのギャップがうまいこと演じ分けられてて見ていて飽きなかった。中村隼人さんは初めて拝見したけども、ものすごいハンサム。まさしく貴公子!って言う感じで、七之助さんとの2ショットが非常に目の保養になった。どの役もキャラがめちゃくちゃ立ってて初心者にもやさしい楽しい作品だった。
第一部2つ目は「棒しばり」
これは以前も見たことがあるんだけど、酒好き従者2人が主人の留守にダメだって言われてんのに酒飲みまくって歌って踊ってどんちゃん騒ぎって言う内容。太郎冠者はうしろ手に、次郎冠者は両手を棒に縛られて、どうやって酒飲もうか試行錯誤してるところも面白いし、シラフの状態からだんだん酔っ払ってきてどんどん調子乗っていく感じ、演技とは思えない面白さ。中村勘九郎さん大好きなんだけど、勘九郎さんの次郎冠者ほんとうに大好きでまた機会を作って見たい作品。
棒しばりは何度見てもただただ楽しくて陽気で見ていて思わず笑ってしまう!以前にも書いたけど、やってることはめちゃくちゃ高度なことなのに、その大変さを感じさせずに面白さや楽しさをストレートに感じさせてくれるのが良い。プロの生み出すエンターテイメントってただただすごい。感想はおもしろかった!ただそれだけでいいんだよね。
うわー苦しそうとか、こんなに大変な思いしてやってるんだからみたいな変な付加価値による感動!みたいなのじゃなくて、そういう余計なことなしに魅了させてくれるのが最高に好き。たのしい、だいすき、ありがとう!だけでいいんだなあって思う作品。
てかだらだら書いてたらめちゃくちゃ長くなった…。

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初歌舞伎座!八月納涼歌舞伎 観劇

昨日、8月17日、初めて歌舞伎座で観劇してきました!
八月納涼歌舞伎、第三部を観劇。
夏の歌舞伎は昼夜の二部じゃなくて、三部構成のものがあって、すごくいいよね。
以前、新橋演舞場で夏に観劇した時も三部構成で、短くて気軽でよかった。
初の歌舞伎座は友達と行く予定だったけど、その友達がインフルエンザで急遽行けなくなり、母と一緒に観劇しましたー。
今回はコミカル怪談物と能狂言物のコミカル舞踊で、どっちもおもしろおかしい気楽に見られるタイプだったから母の初歌舞伎にもピッタリだった。
今月、母の誕生日だったからチケット代はおごりましたよトホホ(;ω;)
友達がちょー残念がってたので、歌舞伎座近くのタリーズにある限定グッズの、鳥獣戯画のてぬぐい(ウサギがコーヒーのんでるw)をお土産に買いました^▽^

夏といえば怪談!
1つ目の演目は「江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし」
怖いの苦手なので分かりやすくて楽しいのがいい!と思い、狐狸狐狸ばなしを選んでみたが、大正解だった。
元歌舞伎の女形で今は手ぬぐい染屋の伊之助(扇雀)と、元女郎のおきわ(七之助)の夫婦がキツネとタヌキの化かし合いをするっていう話。
この夫婦はおつむの弱い使用人の又市(勘九郎)と三人暮らしをしていて、近所におきわの浮気相手のなまぐさ坊主の重善(橋之助)が住んでいる。

初っ端からおきわが下品で下劣で笑ってしまった。
この頃は浮気なんてしようものなら、旦那から浮気相手もろとも殺されても罪に問われないような時代なのに、なんのその!
おきわは家事も一切しない上げ膳据え膳状態な上に、超あばずれw
旦那不在の自宅に重善を連れ込んで、旦那がヘビみたいにねちっこくて嫌なの!あんた、昇天させてよ・・・とか言いながら、しなだれかかるわ真昼間から寝屋に誘うわで自由すぎる!

5月に見た歌舞伎でも七之助さんがなかなか大人の女のエロイ役やってたけど、こんなエロど真ん中の下劣な役をやるとは思ってなかったw
初めて七之助さんの女形を見たとき、清楚で可憐で儚くて浮世離れしたお姫様・・・みたいな印象だったのに、役の幅が広がったって意味では良いんだけどショックもでかいwでも好き!

伊之助はおきわの浮気を察知しているものの、ベタ惚れだから何にも言い出せない状態。
浮気相手の重善は重善で、実はおきわに内緒で浮気中(しかも身体中ぺろぺろ舐めてくるのがどうもなー、でも結婚してやったら金には困らねえしーとか文句言ってる)っていうどいつもこいつも・・・な展開。

この重善もほんと、調子がいい男で、なんでこんなにモテちゃうかなーオレーwwwみたいなテンションだし、演じてる橋之助さんがほんと憎めないっていうかおもわず笑ってしまう。
最初から笑わせに来てるからこっちも遠慮なく笑える感じでほんと楽しい!

おきわは重善にぞっこんだから、重善が酒に酔った勢いで言った、旦那を殺したら夫婦になってやるって言葉を真に受けて伊之助を殺しちゃう。
方法としては、伊之助が仕事で使ってる染料は毒だから危ないから気をつけるように!っておきわに言い含めていて、おきわはそれを使って伊之助を殺すんだけど、察しがいい人はもうここで気付き始めるね。
弔いを済ませたおきわと重善の前に、伊之助が現れるわけだ。
ぎゃーゆうれいだー!!!みたいな展開になって、よしもう一回殺そうぜ!ってなって、そこで又市がこき使われた恨みがあるからやらせてくれと名乗り出る。
で、又市が底なし沼に埋めてきましたーえへへとか(おつむ弱いって言われてるから、終始えへへーみたいな感じ)言って、みんな一安心。
と思っていたら、翌朝、又市がおきわは重善の元に来て、「旦那さんが朝餉の用意できたからおかみさん呼んで来いって言ってます」と呼びに来る。
どういうことだ、とやんややんやして、足はあったのか?本物か幽霊か?座ってたので分かりません!とかやりとりしてると、伊之助登場。
歌舞伎の世界では幽霊が不思議な力で生きてる人間を操ったりするんだけど、まあそんな感じで家に連れて行かれるおきわと又市。

それからまた夫婦で暮らしだすが、以前のツンツンおきわからうって変わって、ビクビクおろおろで従順なおきわ。
まあまだいろいろまだあるんだけど重善の浮気を知って、酒に毒を盛って心中を試みる。すると、全然全く死ねない。
そこで、おきわと重善が気付くわけだ、あの毒は毒じゃなかったと。

で、舞台は冬から春に移る、地べたに座って口をぽかんと開いて三味線を弾くおきわ。
ご近所さんには気が違ってしまったらしいね、あんなおきわ見たくないよ、可愛そうに・・・なんて言われてる。
伊之助は甲斐甲斐しくおきわの身の周りの世話をしながら、この計画を練った友人(序盤に重善の友人として出てる)と話し出す。
いやー上手く言ったな。でもまさかおきわがこんなことになるとは。でもその分夜も好き放題(以下略)などなど。
今日は伊之助の死体の代わりに焼かれた人の49日だからと、その友人と2人で出かけていった。
結局、この友人は今で言う脚本家?的な人で、おそらく役者時代の人脈、使用人の又市もおつむ弱いのは演技で、歌舞伎で一緒に働いてた男。
全部伊之助の策略でしたー浮気はしちゃだめだねーって言う話かと思いきや、重善の所の使用人がやってきて、誰もいませんよーと囁くと、いやーきちがいの振りも大変とばかりに普通に動いてしゃべりだすおきわ。
今日は旦那が出かけていないから、重善(こっちもきちがいの振りして、求婚された女にかくまわれ中w)を呼び出す算段をし始める。
重善の使用人はおきわにいいんですか?こんなことして、と聞くが、おきわはあっけらかんと、きちがいは何しても罪には問われないのよ!と言うのでした、チャンチャン。

この公演のチラシに抱腹絶倒間違いなしの狐と狸の化かし合いって書いてあって、本当にその通りだった!
話し自体も面白いし、みんな初っ端からフルスロットルで笑わせに来る感じw
時事ネタとして、じぇじぇじぇ(朝ドラ)とか、セリフの中で「蕎麦でもエビスでも食わしてやらあ」(勘九郎さんエビスビールCMやってる)とか他にもあったけどクスッと笑えるシーンが多い。
あと、勘九郎さんのおつむ弱い設定の演技が本当におもしろい!しゃべり方から身体の動きからもう最高!
勘九郎さんはこういう役本当にお上手に(愛されるようにとも言い換えられる)演じられるからすごい。
いろんな役を演じる勘九郎さんが見て行きたいから、こういうはまり役(善人とかおばかキャラとか)じゃない悪役をもっと見たいな。
来月、松本幸四郎さんが新橋演舞場で悪役を演じるのを悪の華って大きく宣伝してるけど、勘九郎さんいつかやって欲しいな。

2つ目は「棒しばり」
人気の舞踏で、元は能狂言から歌舞伎化したもの。
狂言からの歌舞伎って難しいものが多いからどうかな?って思ってたけど杞憂だった!いい意味で裏切られた!
酒好きの太郎冠者と次郎冠者は、主人の外出中に酒を盗み飲まないよう、拘束されてしまう。
太郎冠者はうしろ手に、次郎冠者は両手を棒に縛られる。
そんな2人が何とか頑張って酒にありついて、気持ちよく酔っ払って踊りだす。
ただただ陽気で面白くて笑ってしまう舞踊!
演者にしてみれば不自由な中の舞踊はそれだけでも技術が求められる。
けど、そんなの関係なくとても面白くて楽しい!それって素晴らしいと思う。(そう魅せるだけの技術があるって意味でも)
見るからに難しいことって、見ている側に大変だろうなとか辛いだろうなとか分かってしまうから、そういう余計な気持ちを持たせずに、エンターテイメントとして見ていて面白く感じさせてくれるってすごい!
後々考えて、あんなに縛られてるのにどうやってあんなに自由に動いて踊って酔っ払って魅せるんだろうって思った。
でも見ている瞬間はただただ面白くって!
だっていい大人が上司からダメだって言われてんのに、上司の酒かっ食らって楽しくなっちゃって踊ってはしゃいでバカ騒ぎしてるの。
もうただただ声を上げて笑ってしまう、そんな舞踊だった。

初の歌舞伎座での観劇はもう大満足!いい席だったから見やすかったし、お話も分かりやすくて面白かった!
母も案外楽しめたみたいでよかった。
歌舞伎座はどこからでも花道が見えるように設計されているようなので、次はもうちょっと安い席を狙おう。
(今回は売り切れてたので泣く泣くちょっと高い席に・・・)
もうずっと言ってるけど、勘九郎さん悪役やらないかなー?見たいなー。

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