インクルージョンボックス

私の内包物をつれづれと

八月納涼歌舞伎、第二部

2015年8月22日、第二部1つ目は「ひらかな盛衰記逆櫓」
幕間でお弁当食べて二部だったので前半うとうとしてしまった…。
中村橋之助さんが大変格好良かった!橋之助さん演じる船頭・松右衛門は実は樋口という武将なんだけど、船頭としての松右衛門と武将としての樋口の切り替えと、立ち回りの派手さがすごかった。
とにかくスケールがでかい!舞台のはじからはじまで、さらに花道まで、所せましと大立ち回り。
20人以上の漁師に扮した若侍たちの大捕り物、視界がふんどしだらけで壮観wしかも歌舞伎特有の表現として立ち回りで負けると、仰向けに倒れた状態から足をあげるんだけど、妙齢の男子20人以上のフンドシY字開脚ってなかなか見る機会ないよね…。まあ肌色スパッツ履いてましたけどね…。アイドルの見せパンと同じくらいの感覚で見せフンはサービスなんです歌舞伎って。
そんな衝撃的なシーンも歌舞伎のおもしろい所だよなあと改めて思ったり。あと、何気に橋之助さんの息子さんが2人出てたりして親子共演だった(イヤホンガイドがネタバレしてくれなかったら存じ上げませんでした、ありがとうイヤホンガイド)。
第二部2つ目は「京人形」
実はこっちが大本命でした!中村勘九郎七之助兄弟の共演!
日光東照宮の眠り猫で有名な左甚五郎を主人公にした舞踏劇。
勘九郎さんが左甚五郎、タイトルにもある京人形が七之助さんです。
廓で見初めた美しい太夫が忘れられず、生き写しの等身大人形を彫り上げてその人形を相手に酒を飲んでたら人形が動き出したっていう、出だしから割とパンチの効いた演目でしょっぱなからクライマックスか?って言う感じに面白い。
京人形と書かれた大きな箱を開けた瞬間に、その美しさに釘付け。まさに傾国の美女!って風情の七之助さんに観客はため息。
廓遊びの真似事をしつつ酒を飲んでると動き出す京人形、魂を込めて彫り上げたから魂こもっちゃったらしいんだけど、甚五郎の魂がこもってるもんだから動きが男(甚五郎の真似をするので荒っぽい)、かつ木彫りの人形だからぎこちないwそれがまた美しい姿なもんだからギャップが激しくてコミカルで。どうしたもんかと考えて、大夫が使っていた鏡を人形の懐に入れるとあら不思議、大夫そのものの優雅でしとやかな動きに大変身!鏡を入れたり外したりしながらドンチャン踊って大騒ぎ~ってしてたら驚きの急展開。
実は甚五郎の家で娘と偽ってお姫様をかくまってて、そのお姫様を狙っている悪人の家来が連れて行こうとするので何とか足止めして姫を逃がそうとしていると、姫の家来がやってきて、甚五郎を姫をさらった悪人と勘違いして腕を切りつける。(どういうことだよ)
甚五郎は怒りもせず事情を説明して姫とその家来を逃がすと、悪人の家来たちが大群になって攻め込んできて、甚五郎は片腕のまま大工道具を使って大立ち回り!(どういうことだよ)
京人形ってタイトルなのに後半京人形全く出てこないというびっくり展開でした!
京人形の美しさ、人形の男と女の踊り分けのコミカルさが見ているだけで楽しくて面白い!大工道具を使った立ち回りもすっごくコミカルで、かんなで敵の足を削ったり、倒れた敵をはかりで測ったり、ノミとか金槌とか線をまっすぐ引く道具とかで立ち回って敵を倒しててなんじゃこれと思いつつも終始楽しかった。あとこんな古い時代から等身大フィギュアを愛でてたんだなあ、日本人のオタク気質かわらんなあと思ったり。
大好きな中村兄弟が演じているのでさらに加点されまくりで大好きな作品になった。
甚五郎の奥さんもなかなかパンチがきいたキャラで、自分の旦那が花魁に一目ぼれして等身大人形彫り上げて一緒に酒飲むのを受け入れるどころか、旦那に仲居の役を頼まれたら承諾して私がいてはお邪魔でしょうから後はお二人でごゆっくりみたいなことノリノリで言って人形と二人きりにさせてやるとかほんと面白い人。
舞踊ものとしてみると舞踊のシーンが少なくて、ストーリーとしてみると意味不明なところが多かったりするけど、そんなんどうでもよくなるくらいにはとにかく楽しい作品だから、まあ細かいことはどうでもいいよねってなった。
来月は玉さま(坂東玉三郎さん)を見にまた歌舞伎座に来るのですっごい楽しみ!

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