インクルージョンボックス

私の内包物をつれづれと

とっても今さらだけど新青学と比嘉の公演が始まる前にテニミュ4th関東立海のふりかえり感想

テニミュ4th比嘉公演はじまるな〜って関東立海Blu-rayを見てたんだけど、テニミュって本当に面白いし楽しいなという気持ちに立ち返っている。やっぱり革新的なテニミュ4thが生まれたことによってテニミュってやっぱり100年続くだろという確信を得られたよね。
オタクのせいで三浦さんのブログ非公開になったときに精神的に落ちすぎて関東立海の感想ブログが書けなかったのが心残りよ11代目の卒業公演だったのにな、今見ても関東立海公演ほんとうに面白い。
って思って寝て起きたら、心残りがあるまま新青学である12代目と新しい比嘉の公演を見るの嫌だなとなり、明日の初日を前に取り急ぎ関東立海の感想をまとめてみることにした。

生で観劇したのがざっくり1年前(2024年の1月から3月)だから当時の熱量での感想は書けないけど、久々に円盤見て湧き上がる楽しさは本物だった。

なんと言ってもミユキが素晴らしかった。山下愛乃さん渡部遥玲さん、テニミュに出てくれてありがとう!ふたりの歌、演技がそれぞれに本当に素晴らしかったのと、ミユキが王子様たちと同等なテニスプレイヤーとして描かれた喜び、テニミュが変わっていくことの喜びがすごくあった。これからはテニミュに出たいと思った女が来世を待たなくても良くなっていくんだなって思ったんだよ、未来永劫持続可能なテニミュになってくんだなって。4th不動峰公演を見たときに持続可能なテニミュだ〜!て思ったのを、関東立海でまた思った、もっともっと強く思った。ミユキの姿が手塚に勇気を与えたように、見ていて力をもらった。
それと同じく青学1年生トリオもはっきりとテニス選手であると描かれたのが嬉しかった。トリオは客席で声を出せないファンの声援を届ける媒介でもあるけど、そんなものは背負わせなくて良くて、彼ら自身の青学テニス部のテニス選手としてのアイデンティティを描いてくれたのが嬉しかった。

テニスの王子様の物語の対比的な構造をとても美しくわかりやすく描いてくれるので改めて物語の美しさに気がついていく。部長不在の対比、約束の対比、部長と副部長の対比、ルーキーの対比、無我の境地の対比、幼なじみの対比、そして不動峰戦と関東立海戦の対比。
学校ごとの環境の対比、4th関東立海は2024年にしてようやく『暴力は絶対に良くないものである』を前提として描いてるのが良い。ファンだって本当はずっと真田の鉄拳制裁が良くないって知っててそれでも目を背けてきた事。その上で立海が部員同士での暴力による鼓舞や支配に追い立てられてしまった原因の部分をきちんと描いてくれたのがすごくうれしい。

ブン太とジャッカル、3rdと4thで同じセリフでも解釈が変わるの面白い。「きっちり返すぜジャッカルが」「おれかよ」「何いやなの」「そーじゃねーだろ」の会話、3rdは普段からの2人の関係性・苦労人ジャッカルって感じに、4thはブーメランを打たせて返す計画を前提とした おいお前バラすなよ バレても返すだろ?の会話に聞こえた。この試合、桃城海堂ペアとの実力差がある対決のはずがどんどん拮抗していき、立海のふたりがジリジリと本気モードにさせられていく熱の高まりがすごく良くて、それって序盤がきちんと平熱だけど油断はしてないって温度感があるからだよな。

仁王と柳生の『フェイクパレード』が良すぎるので今後も色んな人の解釈で新しい仁王と柳生の曲が生まれてほしい。
3rdの『プロフェッショナルペテン師』の「ユー・アー・ミー アイ・アム・ユー」は入れ替わりそのものの話してるんだけど、4thの『フェイクパレード』の「飼いならし飼いならされたのは お前 私 それとも誰かさん」は仁王と柳生の友情がアプリポワゼ(星の王子さま)の形であることを話してるのかもしれなくて興奮した。
柳生は仁王の勝利の手段としてのペテンを冗談としてあしらうのではなく本気で受け入れたんだろうなって想像するし、それを仁王は特別に思ったのかもしれない。ペルソナをかぶる行為はもしかしたら仁王より柳生のほうが先に順応したのかもしれないし、認知的不協和のストレス状態にある立海の中でふたりで仮面をかぶることを互いに許し合うのは、アプリポワゼ、相手を特別に飼い慣らし合う友情だしどこかで自己防衛にもなったのかな。入れ替わりは相手が生きてるがゆえの変化を受容しきれなくなる時が来るんだけど、新テニスの王子様の未来でもこの奇妙な始まりの友情は続いていくから面白い。

黄金ペア『Two as one』はずるいよ、この公演だけを見ていても感動的だし最高だけど、この曲がここで完成形になるの4thをずっと見てきたらもう泣いてしまうよ。『青学の柱になれ』もそう、一つの公演としての美しさと連続性の今までの公演が積み重なった美しさとが両立していてすごくよかった。

乾先輩はとても真摯で誠実でテニスも人間も大好きで優しくて素敵な人なんだけど、どうしようもなくダブルスパートナーをさみしくさせる人で、柳と海堂は会ったことも話したこともないのに同じさみしさを共有していて、でもそんな人が自分の影響をめちゃくちゃ受けたテニスをしてるのを目の当たりにして愛さずにいられるだろうか。データテニスがその身に染み付いてる事も、データを捨てたように我武者羅に粘りで食らいつくテニスする事も。『過去を凌駕する』の歌、乾先輩の歌っていうより海堂の歌みたいなんだもん。柳も海堂も、乾先輩のことをどうしようもなくシングルスプレイヤーだと感じているけど、その乾貞治から「君たちのテニスが血肉になってる、そしてもっと上に行く」ってまざまざと見せつけられて、乾先輩のこともっと好きになっただろうな。

不二と手塚の関係性はルドルフ戦で手塚が不二に怒りを覚え、氷帝戦で不二が手塚に戸惑いと拒絶反応を示し、六角戦で物理的距離が出来て、と移り変わっていて、関東立海で『勝つまで負けない』を手塚と不二が共に歌うのすごく良かった。お互いが同じだと思い込んでいたが別々の意志を持つ他者だって理解する、その上で手塚との約束のために青学のために、今ここにいない手塚のようにテニスの勝敗に本気になれるかな、と。
このS2、不二も赤也もぶつかり合う熱量で積乱雲ができるんじゃないかっていうくらい熱くて最高だったな。お互いに相手に対して勝つという感覚が研ぎ澄まされていく、不二が目が見えなくなり『INVISIBLE GAME』で一人で暗闇と踊り歌う姿の張り詰めていく感じ、不二の覚醒で敵わないと思いかけても自分の意志でねじ伏せて勝利だけを追える赤也の純粋な強靭さ、『フィナーレは譲れない』で不二の「キミに勝てるとボクはもっと上に行けるかもしれない」のあと低い声で「来い」ってつぶやくような叫びが怖くて好きだった。

幸村が手術に行く前の真田とのデュエット『知らせのない知らせ』、歌詞が良すぎていつも泣きそうになった。『常勝の掟』は幸村と立海レギュラーとの間に断絶が生まれて、それでも俺たちにはテニスがある、テニスによって繋がっているはずだと、勝ち続けることが幸村を生かし立海を繋げるはずだという祈りのために無敗を誓う歌、『知らせのない知らせ』は幸村と真田がお互いを想っていて、幸村はもう腹をくくっていて真田のことを心配すらしている、真田は幸村に俺たちとテニスを信じていてほしいと祈っている、立海は幸村が原動力なんだと。だから「揺らがずに進め」とお互いに歌う。

『決意の皇帝』で立海が真田の風林火山を共に歌うなか、赤也だけがベンチにいるその距離感がすごくよかった。赤也が不二戦で無我の境地に至り、勝負を決めるというとき無意識に真田のグランドスマッシュ(火)を繰り出すが力不足で決めきれなかった描写の地続きで、赤也のエースとしての強さだけでなく三強への憧れや追い越したいのに追いつけもしないその悔しさとさみしさがずっと表現されていてグッとくる。S2後に真田に殴ってもらおうとして殴られなかった時もそうだし、リョーマの『サムライファイター』の「あと一球で決まる あと一球で決める」の時もずっと赤也は悔しくてさみしいみたいな顔をしているんだよな。でもだから赤也は強いし強くなるんだと思う。

S1は何から何まで熱いしもうなんか何も言えない。リョーマの『I will win! Will win!』も『サムライファイター』も名曲すぎる。「俺に覚悟させた奴ら よく聞いておけよ」も「わめくなよ 俺は日本に舞い降りたサムライファイター」も最高の歌詞すぎる。今牧リョーマのための歌詞だしテニミュ4thのための歌詞だし、その上で作品にバチバチに合いすぎていて、全てが相乗効果になっている。こういうこれ以上ないってくらいの楽曲とパフォーマンスが生まれて来ること自体のしあわせと、そして未来にきっと同じように、これ以上ないってくらいの楽曲とパフォーマンスがまた生まれてくるんだって期待と希望がわいてくる。最高の歌と最高の物語と最高の役者の熱演と、テニミュ4thってテニミュへの希望に満ちてるよなあって思った。

立海の鉄拳制裁って幸村を守ろうとする心から生まれたしがらみで、相手のためを思った身勝手な誓いが呪いに転じてるんだけど、幸村を守ろうとする心の動きそのものが真田を弱体化させてたんだね。幸村相手だろうが勝つと、ただ勝利に向かう真田が一番強いんだから。リョーマは真田の弱体化の呪いを断ち切った。真田はリョーマとの試合で、自分の身勝手な誓いは幸村の生存とテニスには無関係だと目が覚めたから、全国立海では手塚国光に勝てるんだな。
子供の頃みたいに泣きじゃくりながら、最後まで諦めるなよって幸村に真正面から怒鳴ることができるほど、中学3年生の関東大会時点の真田弦一郎は強く在れなかった。ゲンイチローくんの強さを取り戻させたのはリョーマと幸村なんだ。

『青春チーム』は三浦さんから青学のキャラクターたちと11代目たちへの愛が詰まりすぎていて、もう何も言えないよ。ブログが非公開になってしまったときのかなしみは癒えないけど、大切なものは変わらずにあるし渡されたし残されている。

テニミュ4thってコロナ禍でスタートして、演劇ってエンタメって嗜好品って人生の余暇の部分のためのもので、不要不急と言われるとものすごく悲しかったけど(でも人命が最優先なのは当然で、今もまだコロナは流行ってるしインフルも流行ってるしマスクは必ずしている)だからこそ人間が人間らしく豊かに生きていくのに必要不可欠な存在だと改めて心から思った。11代目がテニミュが楽しいだけでなく悔しかったり苦しかったりする部分をたくさん乗り越えて存在し続けてくれたことがうれしい。テニミュ4thがずっとチャレンジングに丁寧に新しくて面白いテニミュを作り続けてくれたことが本当にうれしいし、11代目のみんなが大好きだ。
『フィナーレを始めよう』の歌詞に「道を追うな 道を選ぶな 道を創る者こそが勝者! 過去を追うな 今を選ぶな 未来描く者こそが勝者!」ってある。なんてすてきな激励で祝福の言葉だろうって思った。
12代目の新青学や比嘉、全国大会で新しく出会うテニミュキャストたちがどんなふうに既存の物語を新しく紡いでくれるのかが楽しみ。テニミュって100年続くから。