2024年12月15日、新宿ピカデリーにてバグダッド・カフェを見てきた!
今年になって初めて『テルマ&ルイーズ』を見たんだけど、今日見た『バグダッド・カフェ』も年代としてはすごく古い映画なのに全然古びてなくて良い映画っていつまでも素晴らしい映画なんだな、見られてよかった。名作のリバイバル上映ありがたい。
コーリング・ユーがずっと耳に残ってるんだけど、序盤から要所々々で流れてくるし、不思議な世界観によく合ったすごくいい歌だし、最後まで見ると本当はずっとずっとあなたのことを呼んでいたんだなって実感できるのがいい。誰か助けてっていう叫びにあなたが応えてくれたんだ。
ヤスミンの生活力というか生命力が周囲をどんどん巻き込んでブレンダ達もモーテルもいきいきと輝いてくし、最高の映画だった!
ブレンダが夫を怒鳴り散らすんだけど言ってる内容そのものは突飛な事でもなく、コーヒーマシンを取りに行けと言い続けてるのも夫がやる気を出さないのも息子や娘が非協力的なのも延々と続いているのだと想像がつく状況で、客があまり立ち寄らないのか事務所もモーテルも荒れ放題で、ブレンダがひどく追い詰められているのがよくわかる。ついに夫は出ていき、涙を流すブレンダのまえに不思議な旅行者ヤスミンが現れる。ヤスミンも旅行中に夫と喧嘩別れした様子なんだけど、なんかふたりともパートナーと離れたほうが結果としてうまく行っていて良い出会いだったなと思う。
ブレンダが最終的に夫を許すのってヤスミンという精神的パートナーを見つけて夫をその役割から切り離したからだよな。最初はブレンダが夫を許せた理由があんまりわからなくて、だって夫はこっそり遠くから様子を見てるだけでブレンダやモーテルが立ち直るために何も協力してないし夫婦の関係改善のために何もしてないし、もしブレンダのために心を配り力を尽くしていたとしても別に最後まで許さなくたってよかった、でもラストのヤスミンがルディにプロポーズされた時の答えがブレンダに相談してみるって内容だったから腑に落ちたというか、精神的充足に必要なパートナーと性欲を満たすパートナーと子どもを育てていくパートナーって別に同一じゃなくていい。
ブレンダって元々すごく懐の深い人で、だからバグダッド・カフェそのものも訪れた人をみんな受け入れるし人が居着くんだけど、苛立ちに支配されて半減してたその魅力がヤスミンとの出会いと交流の中でその本来の力を取り戻して更にパワーアップした感じだった。痩せた木が水と太陽と栄養で大木になった感じ。木は根を張って移動できないから、来るもの拒まず去るもの追わずで疲れた鳥の止まり木になってあげられはするけど、たぶん今まで誰のことも呼んだりしなかった。でもヤスミンのことだけは呼んだんだよな、ヤスミンもブレンダの呼び声には応えた。というか今まで呼んでも誰も受け取らなかったのか、あの状況の中ではじめてヤスミンがブレンダの声を受け取ってくれたから『誰か』ではなく特別な『あなた』を呼んだんだ。
バグダッド・カフェ、いい映画だった〜。