インクルージョンボックス

私の内包物をつれづれと

ブラッド・ブラザーズ 観劇感想

2022年3月28日、東京国際フォーラム ホールCにて、ブラッド・ブラザーズを観劇。

"長い長い日曜日"を聞きたくてブラッド・ブラザーズを見に行ったけど、生で聞くとやっぱりめちゃくちゃ良い歌だった。そして、歌詞の内容が、ラストへの痛烈な皮肉にも思えて、めちゃくちゃ微笑ましくて素敵な歌に陰鬱な影を落とすのもいい。

シアタークリエの10周年記念コンサート『TENTH』でブラッド・ブラザーズの「長い長い日曜日」を聞いたのが2018年、4年越しに生で聞けてよかった。

ブラッド・ブラザーズ、二人の男の数奇な運命の話だと思ってたら全然違って、母親たちの話だったな。母親たちのエゴと罪の意識が、全部を歪めて子供達やその周囲にまで災いが及んで最後は破滅する。子供が生まれることは必ずしもいい事じゃないし、愛していることは何の免罪符にもならない。

母親たちのエゴと罪は、女だけの原因じゃないんだよな。お前は握手するだけで子供ができるっていって沢山子供が生まれた後に妻を捨てた男は、ちんこ突っ込んで出すもん出さなきゃ子供ができない事もわかってない糞だし、子供がほしいけどできない妻が養子を欲しがっても"本当の"子供を欲しがる夫もね。

愛していることは何の免罪符にもならないし、愛が誰のことも救ったりしない物語だったな。死ぬ瞬間も本当にあっけなくて一瞬で誠実だった。

長い長い日曜日、いい歌だよなあ。誰も遊んでない、誰も起きてこない、エディのいないこの場所は月みたいにさみしくて、みんな引っ越ししたみたいだって。いつもなら一瞬出すぎていく日曜の午後が長くて長くて全然終わらない退屈さなんだ。

双子の兄弟なのに、金持ちに引き取られたエディはキレイな身なりに辞書の言葉を全部知ってるような賢さで、貧乏な暮らしのミッキーはクシャクシャの汚い身なりに汚い言葉でそれでも楽しそうにはしゃぎ倒す。お互いにお互いの正反対なそこが好きで大事な親友だって歌う。

ミッキーに殺される直前に、真実を知ったエディの微笑みがめちゃくちゃ良かった。最愛の親友との、明確な繋がりを知れて、幸福の中で、最愛の人に殺されるんだなあ。ミッキーはその真実で絶望してエディを殺すのにね。本当に、正反対の兄弟だった。

伊礼彼方さん久々に見たけど、今回の役が罪の意識と罰と災いの擬人化みたいな感じで美味しい役だったな。

大事なシーンで近くの席の人の携帯電話の着信音が延々鳴り響いてて、周囲の人がザワザワしてても全然鳴らしてる人が止めなくて、大事なシーン丸々ずっと軽快な着信音でぶっ潰されてひどい目にあった……いまCOCOAが機能するように電源切らないけど、音は消してくれ。

重要なシーン丸々ぜんぶ、軽快かつデカい着信音でぶっ潰されたので全然舞台に集中できなくて、作品に乗れなくて、チケット代を返して欲しくなった……もっと大事に見たかったよ。

あと布マスクの人ね……、不織布マスクじゃなきゃ意味ないのにペラペラのガバガバの布マスクしてるご婦人方、せめて喋らず黙っててくれ。

f:id:inclusionbox:20220331235725j:plain