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プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE Episode4 観劇感想

2017年8月20日、シアター1010にて舞台プリンス・オブ・ストライド エピソード4を観劇。以下ネタバレ感想です。

ついに決勝のエピソード4まで来てしまった~!もう本当に熱くて美しくて感情がガンガン揺さぶられて最高だった。

前作・前々作の感想はこちら 

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毎度のことながら、プリステは初見に優しい。東京千秋楽ということもあって、見に来ている人のほとんどが今までにプリステを見に来たことのある人だったけれど、変わらずに親切な前説をしてくれてとてもうれしい。

 

今回も、前作同様ほぼ試合シーンのみで構成されていたのでずっと熱い展開が続いた。
ステージギミックの多彩さがやっぱり面白い。ポールや壁面で構成された高低差のあるもの、高さの低い立方体のもの、跳び箱状のもの、無色透明な板でアールのついたもの。シールドライダーと呼ばれる方々が、選手が走り抜けた瞬間に素早くギミックを動かして場面転換するのが本当に美しい。見ていてワクワクしてしまう。前作は透明なギミックが初登場ですごく新鮮でとても楽しかったけど、今回は透明なギミックと不透明なギミックの両方がバランスよく配置されて陰影や奥行きと高低差がより見えやすい気がした。
今回の透明なギミックの使い方がすごく面白かった。無酸素状態でのストライドの苦しさを水中にいる苦しさになぞらえていて、透明なギミック越しに見える重く苦しくもがく藤原くんと怜治様の姿が本当に水中にいるみたいだった。その苦しさを乗り越えていくこと扉をこじ開けることで表現する、透明なギミックが扉の役割を果たす。この流れがとても演劇らしいというか、見ている側の想像力を引き出す感じが楽しかった。

エピソード3以降、桜井さんがプリンセスと呼ばれるようになったけど、そのことを莉子が否定したことがすごく良いと思った。莉子が言うように桜井さんは決して守られるだけのお姫様じゃない。むしろヒーローだし騎士だ。試合前に相手校のリレーショナーに低姿勢ながらも方南が勝つと堂々と宣言する姿の凛々しさ、強くて美しくてかっこいい女の子だった。

オープニングでのストライドシーンは、エピソード2と同様の演出。方南・西星・花京院の3校がそれぞれリレーションしながら走り抜けていくけれど、実際に試合をしているのは各校別の学校で、彼らが走り終わると準々決勝の試合を見ていたとわかる。今回のメイン校の魅力的なストライドシーンを見せつつ、時間短縮でストーリーを進めていくこの手法はとてもいいなと思う。

方南と西星の準決勝、好敵手との再戦は本当に胸が熱くなった。気心も手のうちも知っていて、真正面からぶつかり合う、少年漫画的というか清々しい試合展開だった。今までのライバル校との戦いだと迷いや葛藤が表に出てくる場面が多かったけど、この試合はお互いの絶対に勝つと言うシンプルな気持ちのぶつかり合いっていう感じだった。
試合前に同じ区間を走る相手との会話が、どれもとても気持ちいい。リスペクトとライバル心と闘争心が火花みたいにバチバチ光って、早く走り出してくれ~!って思った。
特に久我先輩と楓くんの会話、楓くんは久我恭介という憧れの人を追い越す決意をしていて、本当にかっこいい。
妹尾くんが支倉先輩をライバル視というか意識しすぎちゃうのは、なんだか可愛かった。妹尾くんは怜治様へのリスペクトが強くあって、そこに全く違う部長像の支倉先輩が出てきて、どうしても反発してしまう。本当は認めてるけど素直に認めたくない感じが可愛かった。
話が前後しちゃうけど、最後花京院戦で支倉先輩のこと思わず応援してしまうの、やっぱり認めてるんだなって思った。
藤原くんと怜治様との会話、怜治様って何枚もフィルターがかかってるみたいに内側がよく見えないんだけど、見せてくれないんだよなって思った。でも、全部本気なのは伝わってきた。

試合は本当に熱と熱のぶつかり合いで、どっちが勝ってもおかしくないギリギリの勝負で、勝敗がついたときなんだか茫然としてしまった。もう一度勝負したら勝敗なんてわからないなって思ったけど、もう一度はもう来ないんだって。そういう試合だった。西星の後輩達が泣き崩れるところで、市場高校戦を思い出した。勝ってEOSの頂点にこのメンバーで立ちたかったっていう思い、先輩達のEOSはこれが最後なのにっていう潰れてしまいそうな心が痛いくらいに伝わってきた。

今まで西星がギャラスタにどういう気持ちで向き合ってるのかよくわかってなかったんだけど、今日見ていて少しわかった気がする。全部本気なんだなって。ストライドもアイドル活動も全部本気でてっぺん取る気なんだって。すごくかっこよかった。
ギャラスタのライブシーン、1~3では特典的な感じだったのに今回は重要度が全然ちがって、でもこれまでの積み重ねがあった分だけ、自分がアンドロメダの気持ちになって彼らを見つめられたから、思いを受け止めやすくなっててよかった。ストライドギャラスタ活動も全部本気の西星がかっこよかったよ。このメンバーでEOS優勝したかった、怜治様をてっぺんに連れていきたかった、みんなをてっぺんに連れていきたかった、方南に勝ちたかった、方南と走るのが楽しくてもっと走っていたかった、巻き込んでごめん、ふざけるな。ギャラスタのライブシーンでこんなふうに感情の吐露が聞こえてくるのって、西星がストライドギャラスタの活動も本気だからテレパスが起こったんだなって思えた。わかってるよって観客が思っているのが彼らに伝わったなら、それはオーバーフローだし、もしかしたら聞こえてたかもしれない。
怜治様と静馬の関係性がすれ違ってるのが前作でわかって、今回そのすれ違いが真正面からぶつかって解消されたのがうれしかった。なんかエピソード2の小日向くんと門脇くんのすれ違いと少し似ている気がした。

 

負傷した門脇くんに対して冷静さを失ってしまう小日向くんを見ていて、なんだか泣けてしまった。門脇くんの負傷を自分のせいだと、門脇くんを将棋部からストライドに引っ張り込んだ自分のせいだと思っている小日向くんは、とてもやさしくて傲慢だ。あんなに真剣に必死になって小日向くんに繋ごうとしている門脇くんの、ストライドが好きだというまっすぐな気持ちが、罪悪感で曇った眼では見えなかったんだね。病院のベッドで悔し涙を流す門脇くんのことを知ればいいと思った。こんなにストライドが好きなんだって思い知るといいよって。小日向くんのせいなんかじゃない、そんな風に思うのは門脇くんに失礼だって。

プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE Episode2 観劇感想 - インクルージョンボックス

 

怜治様も、自分が静馬が怪我をした時にそれでも一緒に走れるようにストライドに引き込んだ、それで留年までさせたと思い込んでる。静馬の心がまるで見えてない。過剰な加害者意識はある意味自己陶酔に近くて、だから相手の気持ちが見えなくなるのかもしれない。怜治様もまたやさしくて傲慢な人だ。
今までの怜治様はみんなに求められてると思い込んでる姿だったのかもしれないし、自分が望んでる強さの形だったのかもしれない。穏やかでにこやかで丁寧な態度、どこか静馬に似ていて、自分の知っている強さの形をなぞっていたのかも。本当はどうなのかわからないけど。

方南の校内戦、2on2の時、支倉先輩が西星戦で足を傷めたことに最初に気づくのは小日向くんで、次に久我先輩なんだなって、とても順当というか他人の感情や傷に過敏に反応してしまう2人が最初に気が付くんだなって思った。

方南と花京院の決勝戦。花京院の個々のランナーやリレーショナーの在り方というか学校としての強さの形が一条館にすこし似てて、上位互換ぽいなと感じた。個人個人が強くあることでチームが強くあるという学校。変な話、花京院戦は感情面でもっとこじれるのかな?と思っていたんだけど、プリステの世界は絆の物語だから、基本的にみんなやさしいなと思った。
八神巴という天才について、1~3まででは分からなかったところが多すぎて、4で見えてきた彼はもう拍子抜けするくらい素直で不器用でいじらしいストライドバカで、なんだか可愛かった。
天才って存在自体が暴力的だけど、本人が悪い訳では無いからかなしい。逆も然りで、陸くんが兄から逃げたことも、陸くんが悪い訳では無い。子供の時の2歳の差ってめちゃくちゃでかいのに、さらに相手が無自覚の天才なら、逃げたって仕方ない。八神兄弟がまた一緒に走れたこと、本当によかった。
陸くんがこうして巴くんと走れたのは、藤原くんと桜井さんのおかげでもあるんだってことが目に見えてわかって、藤原くんがお父さんに認めてほしくて怖い気持ちもあるけど全力で走れたのも陸くんと桜井さんのおかげで、桜井さんがランナーの位置表示が消えてしまっても信じてリレーション出来たのもその相手が陸くんと藤原くんだからなんだなって。藤原くんが陸くんに全力で繋いだ時のありがとうって気持ちがまっすぐすぎてまぶしかった。
夏凪くんのリレーションってとても静かで、それこそ凪いだ海みたいに穏やかで、そっと寄り添って必要な分だけ背中を押す感じで、桜井さんとまたちがう形のリレーショナーなんだなって思うと同時に、そんな彼にも少し感情的になるところもあるんだって思えたのが面白かった。
どんなに接戦だろうと焦りを声に表すことがなかったのに、巴くんに対して、君は王者だというその声は力が入って語気が少し荒かった。静かに耳を澄ませて必要な声をかけるリレーションじゃなくて、彼自身の願いが入ってしまったのか、それとも巴くん自身の不安が聞こえて動揺してしまったのか。常に静かだからこそ、揺らぎが強く伝わってきた。最後、巴くんのことを独りにしてしまったと後悔していたけど、独りになんてしていなかったと思う。寄り添っていたって。
維田天くん、あのビッグマウスに実力が伴っているのがすごい。負けを知らない彼が負けた瞬間の、不安定さに泣きそうになった。彼自身が敗北を理解できてなかったのか、最後の礼もできない姿。でもまだ負けたわけじゃないと強がりを言う姿に、まだ強くなれる人なんだと思えた。まだ1年生だし何より藤原くんという自分とは違う種類の好敵手ができたんだから。
五十公野兄弟は走っているときはほとんど感情を排除したみたいに表に出てこないのに、敗北して悔しくて泣いてしまうんだな。かわいいなあと思った。
部長の青葉くんはなんだかちょっと花京院の中でも異質に見えた。コーチに言葉を求めたり、もらった言葉になんだか納得がいってないような?他の花京院のメンバーとはちょっと雰囲気が違って、不和とまではいかなくてもなんか座りが悪そうだなと思った。
オーバーフローの時、今までの対戦相手の声が聞こえてきて、その中で最後姫の声が聞こえて、すごい込み上げるものがあった。自分が姫のことすごく好きだったんだって気付かされた。姫はかっこいい。姫も見てたかな、桜井さんが凄くかっこよくて強かったところ。

今までプリステ1~3まで見てきて、霧がかかっているみたいに見えない部分も多々あって、それが4を見て青空が見えたように晴れた感じがあって、それが一番うれしかった。私は原作を見ていないから頓珍漢な解釈だったりする部分も当然あるだろうけど、それでも知りたいと思っていたことを見せてもらえて、それ以上の熱い思いを届けてもらえてうれしかった。

最後カーテンコールが4回あって、キャストの皆さんのとても充実した顔を見ていたら、陸くん役の伊崎君がお客さんの顔が笑顔だったり泣きはらした赤い目だったりうんうんって感じだったりって言っていて、キャストと観客が鏡合わせみたいに同じ顔してるんだなって思った。プリステ1から4まで全部見ることができて本当に楽しくて幸せだった!またこんな風な楽しい出会いがあるといいな。