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プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE Episode3 観劇感想

2017年6月24日、シアター1010にて舞台プリンス・オブ・ストライド エピソード3を観劇。以下ネタバレ感想です。
つい2ヶ月前に見たプリステep2から早々にep3がやってきて、まだ脳内にキャラクターたちが息づいている状態で観劇できたことが嬉しかった!今回はペンライトも忘れずに持って行けました!

前作の感想はこち

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 私は原作を知らずにエピソード1、2、3と見ているプリスト初心者だが、今回も親切な前説があって、相変わらずこういうタイプの客の受け入れ態勢が整っていてありがたい。原作から追いかけてる熱心なファンも、今回が初めての人も、舞台だけはずっと見てる人も、全部平等に楽しむ権利を与えてくれる優しい舞台だ。

エピソード2と比べてエピソード3はストライドシーンがより充実して試合を中心としたストーリー展開だと感じた。前作の時は、ど頭に印象的なストライドシーンを見せて目を引き付けた後に落差のある日常シーンというかほのぼのギャグパートみたいなものが挟まったりしていたので初っ端から緩急が激しい感じがしたが、今回は始まりはむしろ静かで徐々にエンジンがかかってそこからどんどん試合シーンの熱さが際限なく高まっていく感じだった。前作はエピソード1からだいぶ間が空いていたから、インパクトのある演出がど頭に必要だったのかもしれない。

今回、ストライドで選手が飛び越えていくギミックに新しいものが登場していて、またすごく見ごたえが増していた。
無色透明な板で作られたギミックは選手たちの動きを見通せるから、不透明なギミックだけでは実現できない高さの壁をステージの中央に出現させ、飛び越えた先の動きもそのまま邪魔することなく見せていた。奥行きがそのまま視界に残るから、不透明なギミックで感じる窮屈感を緩和していた。
選手たちが過ぎ去った後、暗転した瞬間にシールドライダーの方々が素早く透明なギミックを動かすと、また選手たちが軽やかに飛び超えていく姿が透過される。透明な板の向こうに駆け抜けていく彼らの鮮やかなジャージの色やライティングが残像みたいで、なんだかとても綺麗だった。
前回よりも高さとスピードを感じるストライドシーンが迫力満点だった。

花京院高校との試合、前回のエピソード2で浮き彫りになった方南の課題と壁が邪魔をして、圧倒的に実力差を突き付けられての敗戦。先輩たちもだけど、特に八神くん、桜井さん、藤原くんの1年生3人の迷いや葛藤が色濃く表れていたように思う。
八神くんは兄へのコンプレックス、桜井さんは父との微妙に歩み寄れない関係、藤原くんは先走るメンタルとフィジカル・テクニックのアンバランス、3人ともそこから焦りが生まれどんどん迷っていく。個の強さ自体がずば抜けている花京院高校との対戦で、より一層課題が明確化したようだった。
これはすごく妄想が過ぎるけど、八神巴という天才が落とす影は天災と同じだと思う。エピソード1でも描写があったけど台風の時でも中止になると考えもせず走ってしまう八神巴は、天才ではない八神陸にとって狂気じみて見えたんじゃないかな。血のつながった兄弟で、存在自体はすぐ近くにいるはずなのにどうしようもなく遠い、好きなのに訳の分からない行動に恐怖を感じる、理解者には到底なれない兄の存在は理不尽な天災なんだと思う。努力を惜しまない天才はそうでないものにとってはきっとひどく恐ろしいよ。
八神巴くんが久我先輩を誘っていたのは自分と同じ土俵の人間だと思っていたからで、でもそれをやめたのは、そうではなかったと知ったからなんだろうけど、ストライドに求めるものの違いについてはまだ答えが見えなかった。というか、八神巴くんの人となりがまだ全然つかめないからエピソード4を早く見たい。

三橋高校と一条館高校の対比って面白い。方南を挟んで好敵手校とヒール校、ライバル校として綺麗に正反対の性質をもって描かれてる。
三橋は鴨田兄弟の間にあった確執が解消されたことで、鴨田兄がお飾りのリレーショナーから本物のリレーショナーに生まれ変わってチームの結束も増していた。エピソード1の時のギスギスしてた三橋高校とはもうまるで別物で、鴨田弟の一緒にストライドがやりたかった願いがすごく良い方向へ叶っていて、親戚のおばちゃんみたいによかったねえよかったねえと思いながら見てた。
一条館は、前作でも思ったんだけど彼らの強さは勝利への意思の強固さなんだと思う。仲の良さのような絆で結ばれたチームではなく、勝利することでつながっている学校。堂園がラフプレイをやらせようとするけど、別にそれがなくたって強いんだと思う。

一条館のヒール校としての色鮮やかさがものすごく印象的で見ていて面白かった。
リレーショナーの堂園のもう気持ちがいいくらいのクズっぷりが冴えに冴えていて、桜井さんとのリレーショナーとしての戦いも舌戦も最高に熱かった。桜井さんもうめちゃくちゃかわいいのにすごく強くて、あんだけ精神的にゴリゴリ詰め寄られてもまっすぐに凛としていて最高だった。彼女の素敵なところは自分の言葉で言うところだな。正義感ぶったきれいな借り物の言葉じゃなくて、ただ自分はあなたの考えを受け入れられないんだ、その考え方は嫌なんだと、個人の感情で言うところが良い。
あと何といっても姫がカッコイイ。藤原くんとの勝負の時、堂園の理性を失ったリレーションにイヤモニ投げ捨てて通信を切って正々堂々と勝負をした姿。敗北した後、堂園の非道をみぞおち一発殴って止めてみせる姿。徹底したクズっぷりの堂園をそれでも見捨てないで、チームメイトだからと尻ぬぐいする姿。鮫島がでかい身体を震わせて泣いていて、自分が無様に負けたことを姫が責めないことに泣いていて、鮫島の肩に手を乗せて、いいよと言ってあげる声の優しさが本当にカッコよかった。堂園はチームの負けはすべてランナーのせいにしてきたけど姫は誰も責めないんだよな。姫にシンパがつく理由がよくわかった。姫の、姫と呼ばれても違和感のないビジュアルも好きだけど、その中に宿る一本筋が通った、漢と書いてオトコと読む感じのカッコよさ、彼自身が強いランナーであるということがとても美しくて好きだ。

前作と今作で、方南は2度敗北した。そのたびに浮かび上がる課題、それぞれのキャラクターの迷い、葛藤を胸に宿したまま、それでも前に前に駆け抜けていく姿がキラキラしていてとても眩しい。
西星と方南の合宿でみんな自分の課題と見つめ合って、それですぐ解決するわけではなくても、前を向く方法を掴んでいった。特に桜井さんはここで顕著に変わったと思う。リレーショナーとしての在り方が定まったというか。ランナーの心を汲み取ること、思いやること、それを事実だと思い込めるくらいリアルに想像・予測すること、それをわかりやすく見せるためのテレパスの演出もよかった。
この怜治様の提案による合宿が方南にとってはとても重要な救いになっていると思うんだけど、西星のリレーショナーの静馬には影を落としているように感じる。怜治様はライバル校の方南には気を配るのに、こんなに近くにいる静馬のいらだちや不安は目に映らないのかな?近しい存在だからこそ、その感情自体案外軽く捉えているのか。それともエピソード4に何かしらあるのか。思わせぶりで見えない部分が多いから、続きが早く見たい。

最後のギャラスタのライブシーンは毎度おなじみ町田さんの振付で、カッコよかった。ジャニオタ心をくすぐられる~と思った。相変わらず町田さんの振付は、ひとつひとつの振りが細かくて、だからこそそれがバシッと決まるとすごくカッコいい。まあ振りがそろわない角度がそろわない所も多いには多いんだけど、劇中で彼らのキャラクター性が見えてくると個性に見えてきて補正されるという部分もある。俳優さんたちの中身ではなく、キャラクターとしての、ギャラクシースタンダードとしてのダンスに見えたらそれは彼らの勝ちなんだろうと思う、とても楽しかった。

姫宮役の村田さんと堂園役の谷さんは、以前それぞれほかの舞台で見たことがあったんだけど、まるで印象が違う役をやられていたので単純に役者さんてすごいなあと、小学生みたいな感想を抱いてしまった。

プリステの2.5次元らしいビジュアルの華やかさと映像演出の美しさという外面の内側にある、生身の人間から引きずり出される熱量、目の前で本当におこなわれるストライドの迫力、そういう原始的な演劇らしさの融合が本当におもしろいと思う。
エピソード1をミーハー心から見ようと思った当時の自分に拍手喝采だし、すぐさま2と3のチケット確保したフットワークの軽さもGJだった。エピソード4もチケット確保済みなので見るのが今からすごく楽しみ!