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プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE Episode2 観劇感想

2017年4月22日、シアター1010にて舞台プリンス・オブ・ストライド エピソード2を観劇。以下ネタバレ感想です!
去年の12月にエピソード1を観劇してからだいぶ経っていて、記憶も薄れていて、当日応援に使うペンライトも忘れたくらいで観劇後に本当に申し訳なく思った。エピソード3のチケットもすでに取ってるので、次回は絶対に忘れず持っていきます!前回よりも熱量がさらにパワーアップしていて、開演からカーテンコールまで息つく間もなくあっという間に終わってしまった。すっごく楽しかった!初日にしてトリプルカーテンコールが自然発生するという事態になったんだけど、本当に素晴らしかった!

私は原作を知らずに見に行ったんだけど、原作を知らない身でも本当に面白いし、こういうタイプの客を受け入れる準備をしてくれていて、ありがたい限りだ。何より作り手側のいい作品にしようと言う熱意と愛情が端々に感じられてそれに圧倒もされた。

エピソード1の時も、前説で主役校の方南2年の小日向くんと門脇くんが、ストライドという架空の人気スポーツについてなどの重要な世界観の説明をしてくれていたが、今回のエピソード2でも同様に前回のおさらい的にエピソード解説をしてくれて、1から久々に見る人にも2から初めて見る人にも優しい作りだった。

初っ端のストライドシーン、主役校の方南とライバル校の西星が試合してるのかと思いきや、実際はそれぞれ別の学校との予選シーンだったのは面白いなと思った。これは文章ではうまく説明出来ないので、見てほしい。原作知ってる方ならミスリードしないのかもしれないけど、試合が終わった瞬間にそうかー!と膝を打った。メイン校それぞれのストライド姿を印象的に見せつつ、時間短縮が出来、見栄えもとてもする。初見にもエピソード1からの久々なリピーターにも、プリステってこんな舞台でこれだけ面白いんだぞと、視線を惹きつける自己紹介的で効果的な演出なんだな。

やっぱりプリステはTHE LIVE STAGEという名前の通り、目の前で展開する本物のストライドが目玉なんだと思う。
舞台上はLEDパネルのようなものを多用してて、アニメやゲームのような2次元的な映像演出がめちゃくちゃカッコイイんだけど(オープニングなんて特にすごく2次元がそのまま飛び出してきたよう)、そこに生身の人間の、肉体の動きでしか表現できない熱量が加わるからこそ面白い。ストライドパルクールをモデルにした架空競技で、多くの障害物をハイスピードで駆け抜ける。その迫力が、本気の熱が、息遣いが、リアルで展開するからこそグイグイと惹きこまれていくんだと思う。
話が脱線してしまうけど、役者の皆さんは、約1年前からパルクールレッスンを受けていたそうだが、本当に危なげなく、ステージ上の障害物をスムーズに飛び越えて走り抜けていく。危なげなくっていうの、すごく重要で、あんな高さのあるギミックを素早く越えていく様は本当ならハラハラとしてしまうところなんだけど、ハラハラするような危なっかしさがないからこそエンタテインメントとして楽しく見ることができる。下手して落下したら命にだって係わるけど、それを意識させない技量をもって演じてくれるからこそ、エンタテインメントとして最高に楽しく消化されていると思う。そして、役者さんだけでなく、ギミックを素早く定位置に移動させて固定するスタッフの方の動きも素晴らしくて、関心してしまう。選手が飛び越えて走り抜けた後、整然とした動きでギミックが次のステージに変わる、それを見るだけでもなんだか楽しくてワクワクしてしまった。安全性が確保された高度なパフォーマンスこそ、エンタテインメントだと思う。

主役校の方南と、一条館高校との試合。いろんな学校との試合の中で、まあこういう試合展開もあるだろうと思ってはいたんだけど、生で見ると結構えぐられるなと思った。勝利のためには手段を選ばない、ルール違反と取られなければいいという学校。そのせいで門脇くんは負傷してしまう。これ俯瞰で見ているとわかるんだけど、この負傷のきっかけは一条館だけではないんだよな。もちろん、一条館の方針は最悪だし、わざと衝突させようとするなんてのは論外だし、相手チームだけでなく自分のチームだって負傷者が出る可能性の高い方法を取るのは最低の愚策だと思う。でも、勝利のためならそれを行う意思があり、それを叶えられる技量と自信があるのも確かで、信頼関係とは違うかもしれないけど勝利への意思はすごく強固なんだ。一条館ってこんな手段を取らなくたって強いんだよな。方南は逆に、ひとりひとり仲良しなんだけど、コンディション的に不安要素が多くてそれが今回はっきりと表に出てしまった。精神的な部分での不安定さが焦りを生み、リレーションや走りに影響して、冷静になれば避けられた一条館の策略にはまってしまった。

負傷した門脇くんに対して冷静さを失ってしまう小日向くんを見ていて、なんだか泣けてしまった。門脇くんの負傷を自分のせいだと、門脇くんを将棋部からストライドに引っ張り込んだ自分のせいだと思っている小日向くんは、とてもやさしくて傲慢だ。あんなに真剣に必死になって小日向くんに繋ごうとしている門脇くんの、ストライドが好きだというまっすぐな気持ちが、罪悪感で曇った眼では見えなかったんだね。病院のベッドで悔し涙を流す門脇くんのことを知ればいいと思った。こんなにストライドが好きなんだって思い知るといいよって。小日向くんのせいなんかじゃない、そんな風に思うのは門脇くんに失礼だって。

小日向くんってビジュアルが女の子みたいにかわいいし、いつも門脇くんといっしょに小芝居やらギャグやらをやってるお笑い担当みたいな感じだったから、この場面以降の小日向くんのこわばって張りつめて素直になれなくて、怒鳴ったり怒ったり睨みつけたりするシーンがすごくギャップがあって印象的だった。大切な友達のために外面を取り繕うことすらできなくなって、本気で怒っている小日向くんはかっこいいなと思った。

エピソード1でどうして久我先輩がストライド部をやめたのか、KGB事件ってなんだ?ってなってたんだけど、ストライド部の先輩に暴力を振るったんじゃなくて、殴りかかってきた相手を避けたら相手がそのまま転んで怪我をした、っていうのが真相だった。ただ、無口で強面なせいで不良に見られていたがゆえに、そのまま勘違いされてしまった。
支倉先輩と久我先輩の、ふたりだけで抱え込んでしまった誰も悪くないはずの罪だったんだなと。(八神巴くんは無視します、今のところ心情がわからないので)お互いを気遣うばっかりに、支倉先輩は久我先輩に戻ってこいとは言えなくなって、久我先輩は戻りたいと言えなくなって、お互いが一番望んでいる事が同じはずなのにすれちがってしまう。会って話したりすることもあるのに、確信に触れないこのふたりの関係がなんとももどかしい。
支倉先輩が必死に退部寸前のストライド部を守ってきたことを知っている小日向くんは、久我先輩を許せない。だけど、最終的に久我先輩が部に戻るきっかけを作ったのが門脇くんのストライドに対する想いだったから許さざるを得なくなった。本当はわかってたけど素直になれなかっただけなのが伝わってくるから、ストライドが好きな気持ちとか相手を思いやってる真剣さが熱くて泣けてしまった。

八神くん、藤原くん、桜井さんの1年生3人にも葛藤があった。
幼少期に出会って、「高校生になったら一緒にEOSで優勝する」って約束をしたはずなのに、藤原くんだけがその約束を覚えていて実行しようと努力していたこと。八神くんは天才の兄への劣等感で、桜井さんは父をストライドに取られるというさみしさで、という理由はあれど、忘れてしまっていた。藤原くんはそのことを知って、ひとりで努力したってしかたがないと頑なになってしまう。
桜井さんは、ずっと海外にいた父が日本に帰ってきていて、仙台の高校でストライド部のコーチをしていることを知って動揺してしまう。

それぞれのキャラクターが壁にぶつかって葛藤している中、久我先輩が門脇くんのジャージを受け取って、新たな6人で挑んだ市場高校戦。方南はやっぱり1年生3人に迷いがあって、でも先輩たちがぐいぐい引っ張っていく様が熱かった。門脇くんの想いが、久我先輩を動かして、そんな姿を見たら小日向くんだって受け入れるしかなくて、支倉先輩は久我先輩が戻ってきてくれたことがやっぱりうれしくて、ばらばらだった気持ちが少しずつまとまっていく前に向かって成長していくのが見て取れた。
でも、実はそれ以上に市場高校の子たちが本当にすごくて泣けてしまった。強豪校としての自負があり負けられないという熱意がすごく伝わってくる。3年生ばかりの中に1人だけ2年生のリレーショナーがいて、先輩たちを暑苦しいです、なんて言ったりするけど端々に先輩たちを尊敬しているのが伝わってくる。2年生にとったら、ずっと追いかけてきてどれだけ努力してきたかを見つめてきた先輩たちなんだから、どうしたって勝たせたいに決まってる。その熱がものすごかった。市場高校ってエピソード2のみ出演の学校なのに、その関係性の背景なんて詳しく描く時間なんてなかったのに、それでもガンガン伝わってくるものがあった。
市場高校は結局接戦の末に負けてしまうんだけど、泣き崩れる2年生の戸丸くんに引きずられて泣いた。先輩たちが慰める姿も、自分たちがもう最後だっていうのに、悔しくて仕方がないはずなのに、それでも戸丸くんの前ではきちんと先輩の顔してるのがすごい。普段通りの顔をして慰めてあげるんだな。
手に汗にぎるストライドシーンが演じられている中で、これだけの感情表現が交錯してるのが本当にすごいし面白い。

一条館高校との納得のいかない形での敗戦で浮き彫りになった方南の課題と壁、市場高校との戦いで壁を乗り越えて何とか前進し勝利することで深まった絆。次のエピソード3でどんな試合展開になるのか、またすごく楽しみになった。

そして、最後のギャラクシースタンダードのライブパフォーマンス!
ギャラスタのライブシーン、ダンスの振り付けがエピソード1に引き続き町田慎吾さんで超楽しみにしていた。また話が脱線するんだけど、先日発売したEndless SHOCKのサントラ2の初回盤についているダイジェスト映像で町田さんが踊ってるのを見て懐かしいな、今も町田さんが活躍しててうれしいなと思っていたので、町田さんのお仕事に触れられてミーハーに喜んでしまった。
そして実際のダンス、ものすごくカッコよかった!相変わらず身体の使い方が難しそうな細かい振りが効いたダンスで、俳優さんたち大変だったと思うけど、とてもカッコよく踊ってた。

最後、カーテンコールがトリプルカーテンコールにまで行ったんだけど、これ自然発生だったんだよ。ありがとうの気持ちで拍手をしていた。

プリステのエピソード1を見たきっかけは、蒼木陣くんと伊崎龍次郎くんが出演するからだったんだけど、1を観劇後すぐシリーズ全部絶対に見ると決意してエピソード2のチケットもすぐ確保したくらい面白かったし、エピソード2を観劇する前に3のチケットも確保しているんだけど、こんなめちゃくちゃ面白い作品に出会えてよかったなと思った。
出演しているキャストの皆さん、全員熱いしレッスンが行き届いている身のこなしは見ていてとても気持ちがいい。身体が自在に動かせる人で、さらに2次元の作品を演じるのに不自然のないビジュアルという奇跡のような人たちがこれだけ集まってるのはすごいなあと純粋に思う。
あと、普段テニミュを追っかけてるから思うんだけど、女の子がもうべらぼうにかわいい。桜井さん役の桃瀬美咲さんが、声から顔から何から何までとってもかわいい。男の子のかわいいも当然好きなんだけど、女の子のかわいいはまた別次元、癒された。しかも演技の熱量も半端ない。また別の作品でも出会いたいなあと思った。

プリステはものすごく映像演出カッコイイけど、舞台としてはとても原始的に生の良さが詰まってるところがいいんだと思う。どれだけ舞台装置での演出技術が向上したとしても、演劇は原始的で、生身の人間の熱量でしか伝えきれないものが多分あるから面白いんだろうなと感じられた。次のエピソード3も楽しみで仕方がない!今度はペンライト忘れずに持っていきます。