インクルージョンボックス

私の内包物をつれづれと

きみはいい人、チャーリー・ブラウン 観劇感想

2017年4月22日、シアタークリエで「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」を観劇。

観劇してからずっとなんだかんだ忙しく、いろいろ抜け落ちてるけど、楽しかったってことだけは残しておきたくて書きます。

 

スヌーピーはキャラクターとしてしか知らなくて、どういう話かっていうのはあまりよく知らなかった。いたずら好きの犬とちょっと哲学っぽい感じ?くらいの知識。
50年前に一度ブロードウェイで舞台化されて、その再演ということでとりあえず予習しよう!と思い、正月にテレビでスヌーピーのアニメを放送していたので見たんだけど、ライナスの安心毛布の回が好きだった。あとシュローダーとルーシーのやりとりも。
舞台でもそこが見られたのがうれしかった!あー!テレビで見たやつだー!ってテンションがあがった。

この舞台は、短いストーリーがぽんぽんテンポよく展開していくんだけど、それぞれに魅力的な歌が挿入されていてミュージカルの楽しさがすっごく詰まってた。
シュローダーのベートーベン・デイ、スヌーピーのサパータイムなんかはもうノリノリで客席から手拍子が湧き起こっちゃう楽しさ!サパータイムは特に演出もディナーショーか?キャバレーか?みたいな感じで楽しかった。
いい歌がたくさんあって、気が付くと自然と脳内をぐるぐる歌が回っていたりする。楽しかったミュージカルってこういうことが自然と起こるのが好き。

あと読書感想文が楽しかった。サリーがスヌーピーにうさぎ狩り行くぞ!って誘って二人でうさぎ狩りの歌を歌いながら散策に行くのと、他の4人がピーターラビットを題材に読書感想文を書くのと、2つのストーリーが歌とシーンで混ざり合って展開してるのが面白かった。この歌の歌詞が、それぞれのキャラクター性がよくわかる内容で楽しかった。
最後にみんなで歌ってたHappinessが、この作品の主題なんだなと思った。みんなのなんてことない小さな幸せを羅列して歌っていて、最後に「幸せは誰にもどこにもある きみが愛せば」って歌う。見えてない幸せがきっとたくさんあるんだなって思った。自分でつけた目隠しを外せばもっと楽しい世界があるかもしれないんだって。

それぞれのキャラクターに対する感想。
スヌーピーのご飯に対する熱情がすごい!あとすごく人間っぽくて面白い。戦闘機に乗って勇敢に戦う夢を見たかと思ったら結構怖がりで、調子よくてちょっとおバカで、ご飯にありつけると世界が幸福に満ちてるように喜ぶ。
ライナスは安心毛布とのダンスすごく楽しかった。知的で哲学的な考え方をするのに、まだ指しゃぶりがやめられなくて、安心毛布がないといても立ってもいられなくなっちゃう。けど、安心毛布があれば最強なんだな。満足げに指をしゃぶってたのに、味がしなくなってきた…ってハッとした声で言うのには笑った。知的なのにお姉ちゃんの言う嘘をすぐ信じちゃうのかわいかった。
ルーシーは楽天家で口うるさくて怒りっぽい。女王になる!と意気込む様は清々しい。シュローダーが大好きで、邪険に扱われてもすごくポジティブ。そんなルーシーが自分へのアンケートで落ち込んだ時、自分の存在する理由を教えてよ!ってライナスに言ったら「例えばお姉ちゃんを愛している弟がいるって事」って答えて、それで泣き出しちゃうのすっごくかわいかった。
サリーも強い女の子。縄跳びきらい、成績が悪いのは嫌いな先生のせい、お兄ちゃん(チャーリー)は頼りなくてやだ!私は私の哲学に従って生きる!でもその哲学もコロコロ変わる。良いと思ったらすぐ実行タイプで要領がよくてお茶目で、かわいい顔してドスドス歩いたりイライラしてると変顔してたりかわいかった。
シュローダーは芸術家肌なのがすごくわかりやすくて、神経質で好きなものと興味ないものへのテンションの差が面白い。ピアノを黙々とひいてるときの静けさと、ルーシーを求愛を断るさっぱりした態度と、ベートーベンへの滾る情熱の差がすごい。
チャーリーは特徴のない平凡さが特徴になってるの面白い。野球は下手だし好きな凧揚げも下手だし好きな女の子に声もかけられない。けど、人から愛されたいときにまず人を愛するタイプなんだな。舞台上のチャーリーはいつも笑いの中心にいた。

舞台を見るだけでそのキャラクターがどういうキャラクターなのかがわかるのって、当たり前に感じるけどすごいことだなってあらためて思う。
人が演じることでキャラクターがより多角的になって、自然と伝わってくる部分もあるけど、演じる側がきちんと役の咀嚼をして演じていないと一度見て腑に落ちるようにキャラクター性が伝わっては来ないから。

パンフレットの対談で、面白いことが書いてあった。ざっくりした要約ですが、ライナス役の古田くんが演出の小林香さんに「違う」と言われ続けて、ライナスライナスすることは求められてないと分かったと。ライナスらしさは、ライナスという1キャラクターをトレースすることより、みんなの中でどういう立ち位置かが大事な役。ライナス自身の核となる部分さえ持っていれば、シーンごとにテンションが変わったっていいんじゃないかと。スヌーピー役の中川さんも、スヌーピーはみんなと会話しない犬だからどうリアクションするかを考える、ライナスも同じようなポジションで、みんなの芝居が埋まった時に見えてくるキャラクターだと。俳優や歌手やテニスの王子様やアイドルや声優っていう、よく使われる肩書だけ並べたら多彩なジャンルでちぐはぐに見えるけど、ぜんぜんちぐはぐじゃなかったな。この舞台はただただ楽しいが詰まっていて最高だった。

蛇足だけど実は一番気になっていたところ。キャラクタービジュアルが全員写真より生の方が断然よくて、みんなかわいくて最高だった。
たぶん全員髪型が写真よりもナチュラルになってせいもあるけど、ライナスのぼさぼさヘアがすっきりちゅるんとしててかわいかった。チャーリーブラウンの髪もピターっとした髪じゃなくてふわふわになってたし、ルーシーとサリーもシュローダーもすごくナチュラルになってた。あと、最大はスヌーピーだ、写真の時よりも着ぐるみじゃなくてすごくよかった。
写真だと演じる部分が映らない分、作りこまないといけないけど、舞台の上に立ってしまえば演じられるから、ガチガチにビジュアルを作りこまなくてもいいってことなのかもしれない。
生きているキャラクターがそこにいることが実感できた。

すっごく蛇足。古田くんWOWOWの座談会とかDVDイベントとかでなんとなく行き詰ってるのかな?と思ったことがあったんだけど、パンフレットに乗っていた演出の方に演技を違うと言い続けられていた時期なのかな?とも思った。金髪の時期だったし。

f:id:inclusionbox:20170526153432j:plain