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キューティ・ブロンド 観劇感想

2019年2月21日、シアタークリエにてキューティブロンドを観劇!
神田沙也加ちゃんがもうめちゃくちゃに可愛かった〜!彼女の演技を見るのはEndless SHOCK以来で、ものすごく久しぶりだったけれど相変わらず眩いばかりの華と愛らしさだった。
以下ネタバレ感想。

キューティブロンドは映画を見たことなくて、ミュージカルを見てみてストーリーの深度が思ってたのとちょっと違ってた。原作を知らないのでトンチンカンなこと書いてるのかもしれないが、「キューティブロンド」という作品自体のストーリーが薄いって話ではなくて、ミュージカルとして表現するときにきっと削ぎ落としている部分が私が見たい部分だったのかなと思った。
エルの自立を描くにしてもハッピーエンタメに振り切っててストーリーに対しての奥行きやアンサンブル含めあれだけたくさんいる登場人物の内面描写をかなりバッサリカットしてる。それが分かればスイッチ切り替えてそのように見るので全然楽しめたんだけど、内容を深く知るには映画も見てみないといけないなあと思った。
ミュージカルを見てその原作に触れてみたいと思わせるってのは、それだけ作品にパワーがあるってことだと思うのでめちゃくちゃ良いことだ。ストーリーや役の背景についていろいろ考えたいと思うとフラストレーションたまるかもしれないけど、気軽に観に行って元気をもらえる舞台ではある!

ストーリーの序盤、可愛くてお金持ちでファッション好きのブロンド娘のエルが、婚約間近のワーナーに「上院議員を目指す自分の妻にブロンド娘はふさわしくない」と振られ、持ち前のポジティブを爆発させてハーバードに合格して元彼を取り戻そうとしていく。
最初からド派手なピンクと明るくパワフルな歌とダンスが印象的で、見ていて楽しかった!最初から最後まで、このポジティブでパワフルでビビッドなテンションが続いていくからものすごくハッピーエンタメに特化してる舞台だ。

落ち込んだエルに協力するエメット、恵まれた生まれのエルとは対照的にスラム育ちの母子家庭の青年で、怒りを力に変えて頑張れとエルを奮起させる。のだけれど、その割にドロドロとしたネガティブな感情はほぼ表現されないのが、表現したいメインはそこじゃないという割り切りなのか、怒りの表現の少なさが底抜けのハッピーさに繋がってるのかな。

歌での表現について、「かがんでおっぱい」と「ゲイもしくはヨーロッパ人?」が正直これ明るく楽しくやってるけど笑ってていいの???って微妙な気持ちになってしまって、純粋にニコニコ笑ったりはできなかった。舞台上が華やかでパワフルでポジティブなんだけど、内容が内容だからなんだか嫌な気持ちに……。何も考えず笑えたら良かったんだけど。
「ゲイもしくはヨーロッパ人?」が歌われる法廷のシーン、エルは散々ブロンド娘=バカというビジュアル面での偏見を受けてきて痛みを知っているはずなのに、それでも他人には痛々しい偏見を向けてしまうのが、人間らしいなあと思った。成功し更に前に進めると希望を持った瞬間に、しっぺ返しとでもいうように自分も女性蔑視的偏見による痛い目にあってしまう。

エルは生まれ持ったブロンド美人のお金持ちという外側の、メリットもデメリットもよくわかっている聡明さが良かった。エメットの内面の良さや実力を外見が阻害しているというエルの指摘も、彼女自身がその偏見を受けてきたからこそ説得力がある。エルのビジュアル面がデメリットにしか働かない場所に自ら飛び込んで奮起していく姿を見て、彼女の最大の魅力がそのポジティブさで、前向きに自分を信じていることだとわかる。そのパワフルさが周りにもいい影響を与えていって、彼女の周囲がどんどん明るくなっていく。最初はエルのことを敵視していたヴィヴィアンが、外見の偏見を取り払いエル自身の聡明さや魅力に気づいて背中を押すようになる展開はグッと来た。

エルの最初の目的は元彼を取り戻すためだった。彼にプロポーズしてもらうために自分を変えよう、彼の望むように。自分の価値を他者に依存するようなその幼稚な思考が、困難に立ち向かって努力する事でより高次の思考に切り替わっていくのがとても清々しかった。ド派手なピンクこそ自分にふさわしいと、自分のために自分を輝かせるエルはとても眩しく素敵だった。
元彼ワーナーがよりを戻そうと言いよってきても、感謝を評した上で断り握手をするところ。ともに努力し自ら選んだ大切な人エメットに、プロポーズしてもらうのではなく、自分でプロポーズする展開も素敵だった。

そういえば、ナイツテイルの三人の王妃やってた方がキューティーブロンドにも出ていた!平方元基さんや植原卓也さんも他の舞台でちょこちょこ拝見していたので、知ってる役者さんを別の作品の違った役で見るのって楽しいなあと改めて思った。

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