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私の内包物をつれづれと

あちゃらか2 ねずみの唄は花火と共に 観劇感想

2018年6月24日、博品館劇場にてあちゃらか2を観劇。
前作のあちゃらかがすっごく好きで、本当に楽しくて最高だったから、続編楽しみにしてました!ネタバレあり、まとまりなしの観劇感想です。
前作の感想はこちら

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前作同様にエンタメてんこ盛り、歌って踊って落語して笑って泣いてまた笑って!終始感情が忙しくって楽しいー!!!むずかしいこと考えずに見て自由に受け取っていいんだろうなって思える素敵な作品。悪い意味じゃなくて褒め言葉として最高のエンタテインメントで最高の茶番劇って感じだった。

町田慎吾さん演じる蔦屋重三郎ことツタジューさん、小玉さん演じる歌麿、そのほか前作からおなじみのあちゃらかファミリーの小気味のいいセリフ回しと軽やかなアクションとダンス、一度聴いたらずっと脳内をぐるぐるして楽しい歌。幕が開いた瞬間からあちゃらかの世界観でこれを待ってたー!って思った。

見ていてほとんど笑いの連続だったんだけど、言葉で説明できないというか説明しても面白さが全然伝わらないのがつらいところなので、前回と同じように見た後ぐるぐると考えた笑いどころ以外の感想を。

ツタジューさんはいつも飄々として軽やかに周囲を幸せにする人で、その他人のために見える行動が巡り巡って自分を肯定し幸福を得られる人で、それを誰より近くでお目付け役として見守っている歌麿がいて、もうこの二人ってセットでないとダメなんだろうなと改めて感じた。歌麿が死にかけた時のツタジューさんの姿が、前作でツタジューさんが死にかけた時の歌麿の姿とダブってしまってボロボロ泣いてしまった。自分の一部になってるような相手が欠けてしまう時の現実逃避する心の動きがつらくて、光の速さくらいで助かって笑っちゃったけどボロボロ泣きながら笑ってた。

呪いの連鎖って現実でもあるよなあと思った。親の受けた呪いがそのまま子へと連鎖して、苦しみが続いてしまう。親が隠密部隊「御庭番」の十三夜月の一人だったがゆえに次郎吉は孤児になり、死んだ本当の親のかわりに親父となったツタジューさんもまた当時は十三夜月のひとりだったがゆえに、親として注げる愛情が、教育が、人の殺し方や屋敷へ忍び込む方法で、その呪いに気づいたツタジューさんは商家に次郎吉を任せることする。けれど、幼い次郎吉にとったら親だと思った人に捨てられ売られたと思っただろうし、ツタジューさんが良かれと思って預けたその商家が実は人身売買をしていたのも呪いがどんどん連なっていくなあと思った。
それでも、次郎吉は鼠小僧になるんだから面白い。偽悪的な義賊で、でも心底利他的ではないようなところが育ての親のツタジューさんとなんだか似ている感じがして不思議と親子なんだなあと思った。
八蜘蛛親子もまた、呪いが連鎖していて悲しかったし、ラストでその絡まった連鎖の糸が切れて良かったと思う。

いろいろ人の想いの裏側を考えたりもしたけど、ツタジューさんのコマネチとか、歌麿のヤキモチとか、子供達と美男美女から放たれるデカい声のうんこの合唱とか、邪空の毎度のぱぱらぽあタイム!とか、邪黄のおあごちゃんとか(そこから派生するおあごちゃん派とおあご様派の対立とか)、相変わらず豊かな邪紅の表情筋とか、沙羅ちゃんのドスドス歩きとか、縦横組組長の三本の矢とか、初登場にして組長の面影が強すぎる寿限無の無邪気さとか、どん兵衛の無茶振りされっぷりとか、お奉行さまの名裁きとか、全部全部大笑いして楽しかった!笑いすぎて涙出たし笑いすぎてお腹いたくなった。

あちゃらかのストーリーって基本的にハッピーで終わるんだろうと思っていて、奇跡がおこる町だからどんなに波乱があってもちゃんと大団円になる。でも私自身はハッピーエンドって幸せの頂点のところを切り取った話という風に捉えていて、頂点を過ぎたハッピーエンドのその先は下降線をたどるのだと思っている。なんだけど、あちゃらかはハッピーの中でも光と影があり裏表があり引きずり続ける暗い過去の先の今の幸福があって、行ったり来たりする波を見ているようだなあと思う。前作も今作もハッピーエンドで切り取られているけど、その先もまた幸福でいて欲しいなあと思う。行ったり来たりの波を描いてまた大団円、世界をあちゃらかに、いつまでもにぎやかに、お約束って感じのおわりなき宴をまた見たいなあと思った。ぜひ第三弾もお待ちしてます!

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