インクルージョンボックス

私の内包物をつれづれと

テニミュ3rdシーズンの千石清純が私の王子様だった話

何かを好きでいる時って他人から見たらなんてことない些細なことで馬鹿みたいに一喜一憂したり、情緒不安定になったりする。
私はテニミュ3rdの山吹に出会い3rdの千石清純に出会ってから、先日のDREAM LIVE 2018に千石がゲスト参加したあの日まで馬鹿みたいに気が狂ってた。

出だしから嘘をついた。本当は今でもまだ馬鹿みたいに彼が好きだ。まだまだ大好きだけど、もうテニミュの世界に3rdの千石清純が現れることはない。もうないんだなあって思うと、少し泣きそうになる。

山吹公演を見に行った時、舞台上で生きている彼を見た瞬間からくぎ付けになった。
キャスト発表の時は、千石役の森田桐矢くんは原作よりずいぶんと見目の良い男の子だなあと思った。けど、くぎ付けになったのは彼が美しいからだけじゃなくて、千石清純そのものに見える瞬間がたくさんあったからだ。

テニミュの千石清純は、原作の彼自身が好きだとどうしてもキャラクター性にブレを感じると思う。監督である伴爺が舞台にいない分、誰かがその台詞を担う必要があり、それは部長副部長の地味’sよりもエースのラッキー千石に回ってくることが多かったせいでもある。伴爺の視点を持つ千石清純が果たして本当に千石清純自身なのかと問われると答えを出すのは難しいし、少なくとも旧テニスの王子様の都大会時点の千石ではないと思う。

それでも私の目には千石清純自身であるようにしか見えなかった。
原作のあの時点での千石清純かどうかは別として、未来につながっていく千石だと思った。新テニスの王子様で亜久津の背中を押すことになる、あの千石だって思った。泣きそうになった。伴爺の視点が付与されることで千石の只者じゃない感じが増しているのは確かにそうなんだけど、森田くんの演じる千石のぐらぐらと煮詰まった憧憬のような歓喜のような怒りのような憎悪のような祝福のような亜久津への感情を見ているのが好きだった。新テニスの王子様で描かれた亜久津のテニスへの執着の片鱗みたいだと思った。

3rdの千石清純を好きになってから、千石のことを考える機会が増えていった。
相手に腹の中を見せない笑顔の千石の、目を凝らしたときに見え隠れする震えるほどの悔しさを見つける度に、ラッキー千石の歌の中に才能のなさの自覚と諦めとエースとしての鼓舞を目のあたりにする度に、Jr選抜は手塚の抜けた穴に収まっただけだった悔しさが込み上げてきた。それをラッキーという言葉で片付ける姿を想像してはその悲しさがずっとこびりついて離れなかった。
正直千石は天才じゃないしそういう自覚もある選手だしラッキーという呪縛から逃れる気も本人にあるのかわからない。本人のテニスとの向き合い方がきちんと昇華される描き方もされてないし、今後もされないかもしれなくて。でも森田くんの千石は、旧作のストーリーに則って描かれてるテニミュのはずなのに、自然と新テニに繋がっていく千石を演じてくれて、だから新テニの未来も信じてもいい気がした。森田くんが救ってくれた。キャラクターを信じさせてくれた。オタクである自分が一番千石の事を信じてなくて、森田くんは一番千石を信じてたんだ。そんな人が千石を演じてくれて本当に幸せだった。

山吹チムライの時お見送りで、森田くんの千石の前で言葉を失って立ち尽くしてしまった時、怪訝そうな顔をさせてしまったんだけど、何とかあなたが千石清純でよかったとだけ伝えたら、驚いた顔でありがとうと笑ってくれた。幸せだった。

比嘉公演の六里々丘中の偵察ビデオ日替わり映像で、はじめて千石の日替わりに当たった時はもうそれ以降の記憶が曖昧になるくらいに動揺した。千石の好きなお好み焼きバージョン、森田くんの千石だけのルービックキューブバージョン、どっちも見られて良かった。ドリライ2016の楽屋の鏡前のことを思い出した。結局比嘉の円盤にはルービックキューブバージョンは残らなかったようなので、ずっと覚えていようと思う。

ドリライ2016は私の中で一番好きなドリライで、ドリライ2017は山吹が全員で帰ってきてくれた特別なドリライで、ドリライ2018はもう会えないと思っていた千石とまた会えた本当に夢のようなドリライだった。

ドリライ2018ではあの山吹東京公演でジャンプが低くて虎砲になってなかったころが懐かしいくらい、ジャンプするたび虎砲みたいに高く飛んでた。相手が気難しい他校生でも手当り次第ガンガン絡んでニコニコ肩組んでたの本当に千石だなあと思った。
3rd千石は新テニスの王子様時空から来たみたいなところがあったけど、新テニ自体がテニミュから生まれる千石解釈を肯定するような形になってるのかもしれない。ドリライ2018神戸参戦の亜久津が抜けて横浜参戦の千石がそれを埋めるように繋いでいくのが、新テニで亜久津が抜けた代表枠に収まる千石と同じで、偶然かもしれないけど3rdの千石と亜久津はつくづく新テニとシンクロするなあと思って、山吹公演見ていた時に新テニばっかり読み返してたのを思い出した。
同公演の横浜千秋楽で千石が亜久津のポーズをしたことで、ふたりがそこにいてくれたのが本当にうれしかった。千石にとってのテニスって亜久津でもあるから、亜久津を諦めなかった千石はテニスを諦めたりしないって不思議と確信出来て、やっぱり森田くんの千石は信じていい未来だって思った。
夢を見せてくれるのが王子様なら、3rdの千石清純が最初の王子様だったし、最後の王子様でいいなあと思う。

森田くんの千石にはたくさん幸せにしてもらった。そういう千石ファンが絶対たくさんいると思うから、幸せにしてくれた分だけ彼にも幸せが降りそそぐといいなあと思う。客の身勝手な思いなんてなくてもきっと幸せがそばにある人だと思うけど。
どうしたってありがとうの気持ちしか浮かんでこない。あなたが千石清純を演じてくれていた時間が本当に幸せでした。ありがとうございました。