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私の内包物をつれづれと

ストリップ学園 観劇感想

2018年1月14日、新宿FACEにてストリップ学園をマチソワで観劇してきました!最初から最後までもう最高すぎてうまく言葉で言えないって感じで、ツイッターの鍵垢で頭わるいことひたすらつぶやいたんだけどなんか本当に楽しいしかない幸福な舞台でした。見に行ける人は全員見に行ってほしいー!以下ネタバレありの感想です。

 

この舞台は常識禁である、常識なんて捨てて丸裸になれ!と謳っているのだけれど、最低限の事だけ守ってあとは好きに楽しんでいいよってことなのかなと思いながら観劇していた。普段見ている舞台ではありえない異様な熱気!ストリップショーのシーンでは客も一緒にパンティをブンブン振り回したり(私はパンティを用意できなかったので精一杯派手なミニタオルを振り回した)踊り子が色っぽくて最高だと思ったらヒューヒュー!と声を上げたり、踊り子の踊りにメロメロになったら紙テープを投げ込んだり、おチップタイムにチップを渡したりして、行ったこともないのに本当にストリップ小屋に迷い込んだみたいな気持ちになった。舞台を観劇している時、嬉しかったり楽しかったり感動したりした時の客ができる精一杯の表現は拍手しかないんだけど、こんなにいろいろやってもいいの?って思ってしまった。脳みそとろけるくらい楽しい。劇中の歌詞にもあるんだけど、上気した肌に光る汗がダイヤモンドのように眩しくて、目がくらみそうだった。
今回見に行ったきっかけは、石田隼さんと藤原祐規さんが出演するというのを見て、しかもストリッパーを目指す少女を演じるってどういうこと?ってなったことなんだけど、面白そうなにおいを感じてマチソワでチケット取って本当によかった。正直仕事がなければもっと追加して見たかった!
ストリップシーンを見ていて、喜怒哀楽、感情の波が見えてくるのが、ミュージカルを見ている感覚と似ていて面白かったなあ。(ランが悲しみと絶望を知って踊ったストリップなんて、ビリーエリオットのアングリーダンスみたいじゃんと思ったり)ストリッパーを目指す少女、ラン、葉子、朋美、姫華、いちご、他にも落第してしまう少女たちみんな男性が演じていて、逆に男性の役を女性が演じていたり、男性を男性が演じていたりもして、女性扮する男性が男性を演じていたり、混沌としていて。最初見た瞬間は性別逆転して演じてるのか、面白いなと思ったんだけど、だんだんと性別とか年齢とかそういうものにこだわる必要はなくて、その役を投影する存在としてただそこにいて、踊る肉体の美しさだったり、表情の美しさだったりにただ圧倒されてグイグイ引き込まれて、いつの間にかストリッパーになりたくてもがいている少女たちに見惚れていた。この舞台って常識禁なんだった。素直に見ればよかったんだな、と思った。
ここから先はより具体的なネタバレがあります。
藤原さん演じるお金持ちのお嬢様の姫華が、羞恥と快感の表裏一体を体現するキャラクターで、ちょっとした仕草や立ち姿から陰のある色気が立ち上っていて、ひたすら色っぽくてたまらなかった。劇中、姫華のソロのストリップが父親の手で中断されたときには、これからいい所なのに!!!って思ってしまった。あの姫華のソロストリップ、どうにか映像化されませんかね…?DVD買いますんで…。中学時代の裏切りのパイパン事件からの性への目覚め、自分の表面にいつでも存在するいくつものレッテルを全部剥ぎ取った内側を見られることに自己を確立してしまったんだなあ。姫華のお嬢様らしからぬ強かで陰のある色気の原因が見られたのはすごく良かった。
石田さん演じる葉子の、年老いてもまだ踊り続けるストリッパーの母への嫌悪感は、堂々と自分の選んだ道を歩み続けることのできる母に対する劣等感やコンプレックスの裏返しで、けがれた踊り子の血が流れてると母のせいにして自分を落とすことで安心を得ている。そういう安堵の得方って、あるよなあと思って。周りの女友達より自分の方が遅れてるって焦る気持ちから、朋美に○○してって言ってしまうのもわかるなあと思った。朋美をバカにしてるわけではなくて、自分より堂々と正しそうに見える姿を自分の方に落としたい気持ち。それで自分が高みに上れるわけじゃないのに、苦しくて誰かに一緒に傷ついてほしくて引っ掻いちゃう感じ。見ていて苦しかった。IQ低い感想としてはおさげ髪が超似合ってて可愛かったのと、細いから貧乳が似合ってた。
芹沢さん演じる貧乏で風俗上がりの朋美の、姫華にも葉子にもコンプレックス刺激されて劣等感の渦に溺れちゃう感じが切なかった。ダンサーになりたくて、でも弟だけは何とか大学まで行かせたくて幼い頃から働いて、風俗でお金稼いで、そこで恋じゃないキスもお金を貰わないと会っちゃいけない辛い片思いも経験して。お金を稼ぐ事とダンスする事の両方を叶えられるストリッパーを目指した。弱くあることのできなかった少女の内側がとても脆くて健気でいじらしかった。朋美は一番巨乳でいつも乳がぶるんぶるんしてて将来乳が垂れないように補正力の高いブラジャーをあげたくなった(おせっかい)。
ロッキン=ヨーコさん演じるいちごは存在感が薄くて昔はいじめられっ子だった。傷ついた自分を慰めるためにナースのコスプレをして、でもやっぱり変われない自分に傷ついて。変わろうと思って何か行動してるだけでもすごいのに、ストリッパーへの道から一度は逃げたけど最終的にやっぱりストリッパーになりたいと戻ってきた。すごいなあ、強い女だなあ。逃げたっていいのに、逃げ続けてたって生きていけるのにね。もがくことをやめないんだなあ。いちごに一番自己投影して、でもその強さがすごく眩しかった。
古谷さん演じるランは、天真爛漫で元気いっぱい。幼い頃に見たストリッパーに憧れて田舎から走って出てくるような猪突猛進タイプ。他のみんなが自分のコンプレックスに自分たちで立ち向かって打ち勝とうとあがいてるのと対照的に、ランの欠点である元気すぎて情緒不足という部分は周囲や母からの愛のムチによって試練を与えられ、戦うよう仕向けられていて、面白いなあと思った。ランの天真爛漫さは愛されるための才能なんだなあ。ランは辛くても苦しくてもよくある事って笑って悪いことばっかり見てないで好きなものに目を向けて前に進んできた子だから、天真爛漫に見えるし、だから誰かが助けてくれるのかもしれない。
中村中さん演じる、伝説のストリッパーアゲハの称号を持つうずめの若かりし頃。ストリップシーンの幻想的で妖しげなパフォーマンスと、地鳴りするような突き刺さるような痛いくらいの歌声が本当にすごくて微動だにできず見つめてしまった。自分に分身がいたのなら代わりに紙テープをたくさん投げて欲しかった……。息を潜めてしまうくらい美しかった。
あーもうなんか、うまいことストリップ学園がすげー楽しくて最高だったことがたくさんの人に伝わらないかなー!
舞台上のみなさんの、熱気と汗と笑顔と丸裸の感情の色と歌とストリップと全部が最高で、見てるこっちも丸裸になって最高ー!って表現しながら見られて本当に楽しかった!眼福でした!

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