インクルージョンボックス

私の内包物をつれづれと

ドッグファイト DOGFIGHT 観劇感想

2017年12月20日、シアタークリエでドッグファイトを観劇しましたー!
いろいろ忙しくて感想書く暇がなく、ずいぶん経ってしまったのですでにうろ覚えですが、とても楽しかったので、観劇帰りにポチポチメモしていた感想を記録としてUPします。

 

ドッグファイト、歌の力がすごい!ミュージカルの楽しさが満点だ!
楽しい音楽と一緒に身体が動き出しそうなダンスに見ているだけで高揚する!
屋良さん、中河内さん、矢田さんの若くておバカな海兵隊によるどんちゃん騒ぎなダンスの楽しさ、歌声の厚みがワクワクする。
ローズ役の宮澤エマさんの、天に登っていくような透き通った歌声が乗せられた感情と一緒に突き刺さってくるみたい。すごい。
メイクと衣装で不細工でおデブに見えるように作られているから確かにそう見えるんだけど、あまりに歌声が美しいから、ローズの純朴さ優しさ清らかさが言動や仕草から伝わる分以上に真っ直ぐに伝わってくる。宮澤エマさんのこの圧倒的な歌声がなければローズはもっとぼんやりしてしまっただろうな。というか、本来はもっとぼんやりした存在だったんだろうと思う。
ベトナム戦争の時代、弱者の搾取がたくさんあって悲しくなってくる。若者には戦争に送るために兵士という存在自体が特別で偉いんだと洗脳されているし、その若者の親世代からずっとドッグファイト(一番ぶさいくな女を連れ込んだ奴が賞金を得る)なんていう弱者搾取の縮図のようなくだらない、けれど搾取する側は麻薬のように快感を得る遊びを続けてる。そんなかわいそうな若者は娼婦に哀れみと金で股を開いてもらってる。ヒロインのローズは根暗で太ってて不細工でパッとしない、孤独で哀れな女の子。だけど世界は美しいという希望を持っている。純朴で優しくて真っ直ぐな女の子。でも自分を革命したり世界を変えたりはしない。母の食堂でずっと変わらず、エディと別れたあともそのまま変わらない。
戦争へ旅立つ前夜、子供でいられる最後の夜。つかの間の、一瞬の、まやかしの青春だからこそ、キラキラと輝いて見えるんだろうな。そのことを彼らは本当はわかってる。でもそれを認めたら前に進めなくなってしまうからただ飲み込んでつかの間の平和な馬鹿騒ぎに身を投じてる。
華やかで楽しげな歌と音楽とダンスだからこそ、作品全体の時代背景からくる悲しさがじわじわと浮き上がってくるようだった。おもしろかった!

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